史上最大のボロ儲け ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか
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2005〜8年、高騰していた米住宅価格の下落に賭け、1年で150億ドルを稼いだジョン・ポールソンほか、「逆張り」投資によって莫大な利益を得た人たちの姿を描く。
最近の住宅価格の高騰に疑問を抱いたポールソンは詳細な調査を経て「住宅価格は下落し、住宅ローン破綻が相次ぎ、関連債券の多くが無価値となる」と予想、専用ヘッジファンドを設立して大金をかき集めてCDSを買いあさり、さらに金融会社株の空売りをしていった。この「逆張り」に専門家の多くは冷笑したが、結果は予想通りで、最後にはリーマン・ブラザーズなど巨大銀行が倒産するなどの金融危機にまで発展した。
著者も指摘しているように、ポールソンなど住宅価格の下落に賭けた人々の多くは住宅マーケットについては素人同然だった。だからこそ「こんな異常な状況は長続きしない」と確信し、大枚をはたいて大勝することができた。
逆に専門家たちは「住宅価格は永遠に上昇する」とまさに日本の土地神話と同じ迷信を信じて目が曇り、マーケットを冷徹に見通すことができなかった。
CDS、CDOなど専門用語についてもわかりやすく解説され、大変面白く読めたが、ポールソン以外の描写が少し中途半端だったかもしれない。彼と直接関わらない部分は思い切って切り捨て、その分もう少し掘り下げていったほうが面白くなったのでは。