「精密力」~日本再生のヒント~―全日本女子バレー32年ぶりメダル獲得の秘密 (主婦の友新書)
祝,女子バレー日本代表オリンピック出場!著者は現女子バレー日本代表の監督。著者が言う「和」,「器用さ」,「緻密」がバレーボールに必要とされる力らしい。まさに日本人の特性をそのまま表している。
著者が実践する「データバレー」はそれほど目新しいものではなく,10年以上前から日本でも導入されていたという。著者は現役の時セッターだった。野球でいえばキャッチャー,サッカーでいえばトップ下に当たるポジションらしい。試合全体を見渡し,コントロールする役目である。そのため,著者はデータに興味を持つようになったらしい。
実際に世界選手権でデータを重視したバレーをし,世界ランク1位のブラジルを相手に健闘したという。プロ野球楽天元監督の野村や,ラグビーの平尾誠二もそうだが,どのスポーツでも頭脳的なプレーを重視する監督はいるのだなと思った。もちろん徹底的な練習による高いレベルの技術がないとデータも無意味なのだが,高いレベルでのデータの威力をまざまざと感じた。
バレーボールでは「高さ」と「パワー」のあるチームが勝つと思われるかもしれないが,意外とそうでもないらしい。バレーには他にもいろいろな要素が存在するので,日本が世界に勝つには「日本人の精密力を生かすバレー」をしようというのが著者の考えである。バレーは野球などに比べるとボールを上げてスパイクするだけの分かりやすい競技だとなんとなく思っていたのだが,この本を読んでそのイメージはガラッと変わった。実際は,考える要素が実にたくさんある,複雑な競技なのだ。
世界選手権での銅メダル,五輪出場権を獲得したことで,著者の「データバレー」の効力は証明されたといえるだろう。この本を読んで,私は女子バレ―日本代表がオリンピックでメダルを取れる可能性は十分あると実感できた。
2010世界バレー ~32年ぶりの快挙!全日本女子 銅メダル獲得の軌跡~【初回限定生産】 [DVD]
どうしてこんなに盛り上がってしまうのかしら!と思えるほど、もう既に終わってしまっているVTRなのに手に汗を握ってしまう。もうちょっとで届く、という時には、どうなるのかじっと見てしまう。スポーツの吸引力は凄い。作為的な盛り上がりを誘うような作りをしていないDVDで嬉しい。表彰式はホント素晴らしい。
私は、随分前にバレーボールの雑誌社にいた。そこから離れてもう20年以上が経つ。もう最近のバレーボールに詳しくないが、そんな盛り上がりのDVDを見ていて、段々と疑問に思って来た。このDVDは全日本をフューチャーしたものだからこれでいいのかも知れないが、選手も含め、観客や応援する全ての人が淡く期待するのは、「もっと上」に行けるこれからの姿だろう。
その観点に立つ時、「世界の一流はどこら辺にいるのか」は、このDVDからは分からない。私には分からないが、この大会でロシア対ブラジルでは、横綱同士の対決として、どれ程観客が盛り上がったのだろう。もしそれがないなら、観客は世界のバレーを知らず、小結に当たる日本の戦いだけに一喜一憂しているのではないか、と思えて来る。ファンの声援で一位になるようなものではない。
ファン自身もまた世界に精通する目がなければ、その国のレベルも上がらないのは、他のスポーツを見ても確かなことだ。来年の五輪最終予選に向けて、選手だけでなく、観客やファンももっと高みを正確に知る、今後そんなDVDの作りであってもいいと願う。
しかしそれは本来、眞鍋監督を始め、日本の協会やスタッフの仕事かも知れない。金メダルの大松監督を引き継ぎ銀メダルをもたらした小島孝治監督の言葉「高い目低い手」というのは、そんなハイランクの目線と、実践に伴う易しい手法を言った言葉です。決して「低い目」にならないよう、私たちの目も肥やして行ければと思う。それが出来れば、私達が応援する全日本も「もっと上」に行けるような気がします。
めぐみ MEGUMI
小さい頃から人(同級生)と違う生活をしていた人に私は共感します。そしてそういう人は独特の孤独をずっと持っています。私の勝手な憶測は当たっていないかも知れませんが、栗原さんもそんな一人なような気がします。
遠征先の宿で気心の知れた荒木選手と同室でも、一人いつまでも寝られない彼女だから、そんな人なような気がする。だから、この本に出て来る彼女の、故郷に立ってほんとにほっとしている姿が、写真に濃く写り込んでいるのでしょうか。
初心を忘れない選手。それが私の彼女の印象。中学生で実家を離れるのも、出場機会を失ってもチームを移籍する姿も、それが故であるような。私は山口県民だったので、テレビのコマーシャルにも流れる三田尻女子高を懐かしく、そんな名門にいて今は全日本にいてさえ鼻高くならない彼女を、本当にハングリーのままで素敵な人だと感じます。
自分の最高到達点でスパイクを打とうとするからか、どうしても頭の直上で打つことになって、体重の乗らないスパイクになっている。それがずっと気になっていますが、それさえもう彼女のシルエットとして脳裏に焼き付いています。2012年はオリンピックイヤー。ぜひロンドンで、彼女が選手としての最高到達点に達している姿を見たいです。
それはきっと瀬戸内の海のようにキラキラとしているでしょう。海と彼女の絵はとても綺麗です!