ジェネシス・ベスト・アルバム
「インヴィジブル・タッチ」を中心に、「ジェネシス」「デューク」など、
フィル・コリンズ時代のポップなベスト盤です。
便利さでは、飛び抜けて評価できる作品。
80年代の美しき断片。
リプライズ~ザ・ヴォイス(3)
クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」とレオンカヴァッロの歌劇「道化師」より「衣装をつけろ」の両方を歌えるテノール歌手は他にいません。一つのアルバムの中でそれぞれ発声を代えてナチャラル・ヴォイスとベル・カントの歌い分けは見事の一言です。
どんなジャンルの曲でも自分の歌にできる発声を会得したラッセル・ワトソンですが、一番声に合っているのは「帰れソレントへ」「サンタ・ルチア」「カタリ・カタリ」のような明るいカンツォーネの曲でしょう。突き抜けるような高音の輝かしさを聴くとそう感じます。同様にスペインの作曲家ララの「グラナダ」も素晴らしい歌唱だったと思います。
ディーン・マーチンのヒット曲「ザッツ・アモーレ」やウィスパー・ヴォイスを交えて歌う「ナッシング・セイクリッド」の巧みさは聴かないと実感できないと思いますが、本当にロック歌手になりきって歌っています。元々パブでロックを趣味で歌っていた頃を彷彿とするような本領発揮といったところでしょうか。
ビゼーの歌劇「真珠採り」より「聖なる寺院の奥に」を聴きますと、最高音域での突き抜けが少し足らない感じです。全盛期のパバロッティと比較しての話ですが。
プッチーニの歌劇「トスカ」より「妙なる調和」はいいですね。このような有名なアリアの歌唱を聴くと表現力は申し分なく、リスナーを満足させてくれます。
圧巻だったのはクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」です。彼自身が楽しんで歌っているのが伝わってきました。オリジナルの雰囲気を壊さず自国出身のロックバンドへのリスペクト溢れる名唱だと言えるでしょう。