日本が融けてゆく
ここで古賀さんが主張しているのは、国民のための政治、国民のための政府にしないと、「日本が融けてゆく」ということであろう。それを福島原発問題や、産業再生機構、公務員改正法など具体的な事例をあげて、政治家のための政治、公務員のためのお役所になっている事実をズバズバ指摘している。どう改めればよいかも論理的かつ説得力に満ちた提言をしている。なぜこのように優秀な人が経産省で干され、辞めざるを得なくなったのか、暗澹たる気持ちになった。このような人こそ今の日本に必要不可欠な人材であるのに・・・。
ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む (新潮文庫)
外資も手を出せない地権者の整理やテナントの追い出しに裏社会の組織が絡んでいたらしい。
スルガやアーバンコーポレーションが破綻したのも、REIT人気の落ち込みだけではなく、暴力団絡みの企業に嫌気をさした金融機関の資金引き上げに原因があるそうです。
古くはバブル後の不良債権処理がらみの債権転売、最近ではホリエモン、カネボウ等の粉飾決済、そしてこのREITバブルの闇勢力などなど、この10年は広い意味での裏社会が活気付いた時代でした。
文章は若干荒っぽいものの、本書はそんな時代の一部をわかりやすく暴いてくれています。
著者自身はジャーナリスト出身なので、当事者や警察、司法、税務当局が持っているようなリアルな情報には乏しいですが、広く浅く現代の裏家業について述べられています。
経済犯罪のノンフィクションに初めて触れる人には大変読みやすい内容になっていると思います。
ただ、いろいろ資料を読み込んできた人にとってはちょっと物足りないので☆4つです。