江口寿史のお蔵出し 夜用スーパー
ギャグ、コラボ、エッセイ(マンガ)、ストーリー物をまとめた一冊。描かれた時期は、古くは86年、90年代後半だが、ほとんどは00年代のもの。双葉社の「アクションZERO」に掲載された作品が多めとなっているが掲載誌は様々だ。ほかにも触れている方がいたが、こんなに仕事をしていたんだ、と正直驚いた。もちろん、作品としての統一感はないが、こうしてまとめて作品を読めるだけでもありがたい?
ストーリー物が二作収められているが、いつものとおり落ちてしまっている。本人曰く本当にお蔵入りした作品がこの2作とのこと。たしかに「ラッキーストライク」は本当につまらないが、「イレギュラー」は、さぁこれから!といったところで落としている・・・。
まず、巻頭を飾る「まんが道」のパロディ?「ドギワ荘シリーズ」でいきなり爆笑。テラさん(寺田ヒロオ)の黒くいやらしい眼つき。最高だ。自作解説で「まんが道」への愛をしつこいほど語っていた。勿論本心だと思うが、なぜかそれがいい訳めいてしまい可笑しい。江口寿史の面目躍如といった作品だ。本人も楽しんで描いていたに違いない。
気になる作品があった。
処女作(「恐るべき子供たち」ことか?)を書き始める直前の自身の姿を切り取った「ハタチの頃とかなんとか・・・」だ。たった2頁の小品なのだが非常に印象に残った。これは、二十歳の頃の自身の葛藤みたいなものがストレートに吐露(笑いというオブラートに包まれているが葛藤する自身の感情はストレートに出されている)されている作品だ。
「マンガの道−私はなぜマンガ家になったのか」というマンガ達へのインタビュー集で、江口寿史自身がデビュー前の自分を語ってはいるし、自身をネタにした自虐的な作品も数多く描かれているのだが、マンガ(=作品)でこのような内容は描いていなかったように記憶している。
自作解説を読むと「5年越しで準備中の新作ではこの頃の事をじっくり描くつもり。あの頃の自分に今また、会ってみたいんだ」と書かれている。是非、読んでみたい。
ストップ!!ひばりくん!コンプリート・エディション 2
今でいう「男の娘」の元祖ともいうべきマンガです。
30年前の作品ということもあって知らない人もいるかもしれないので、大雑把なあらすじを書きますと、
母が亡くなり、身寄りがなくなった坂本耕作。亡き母の遺言で、母の古い友人、大空いばりの家にお世話になることになったが、大空いばりは関東極道連盟・関東大空組の組長、すなわちヤクザだった。
なんとかこの家から逃げだそうとするが、そこで一人の美少女と出会う。それがひばりくん。他にもつぐみ・つばめ・すずめの美人姉妹がおり、美人姉妹に囲まれて暮らすのも悪くないと思い直し、この家にお世話になることを決意する。しかし一番の美少女であるひばりくんは、実は男だった。
この事実は大空家や大空組の者しか知らず、学校では女の子として通っている。しかも学年No.1の美少女として人気者。
ひばりくんは最初はからかう程度に耕作に積極的せまるが、どんどんエスカレーション。一方、耕作は男と分かっていながらもまんざらでもない様子。この2人を中心にさまざまな騒動が引き起こされていく。
といった内容。
第2巻ではつばめちゃんがひばりくんに梶くんをふるようお願いするところや耕作の母と大空組の親分の出会いの回想あたりから、耕作の故郷の友人との恋人づくり競争までが収録。
この中で明らかに画風が違っている「Jの告白」は読んですぐに書き下ろしだと分かりました。2巻を読み通し終わった後、帯を見たら「当時の絵のタッチとなるべく違和感の生じないよう、巧くなり過ぎないよう神経を使いましたが、いかがでしょうか?」とあった。巧くなり過ぎないようって先ちゃん・・・。
アニメ化もされた、江口寿史の代表的マンガなので、若い人たちにも読んで欲しい作品です。
老人Z HDマスター版 [DVD]
評価は私は☆五つを差し上げたい。マンガチックなスラップスティックが単なるギャグに堕さない、フランスのBD的な絵(十分に和的でありますが)によってオフセットされた、マンガでもない、BDでもない、そのフュージョンの様な作品になっています。
ストーリーの内容はSFチックな道具立てに惑わされなければ、実はオーソドックスなもので、ちょっと展開上冗長に感じられてしまったのは、以前ビデオで観てストーリーを知っているせいでしょうか。少なくとも私は内容のオーソドックスさ(老夫婦と若い女性の思いを描いたという点で)と絵のスタイルの組み合わせを評価したい。純然たる日本のBDアニメでこうした作品は案外ありそうでたくさんはないように思います。時間が経って、変わってしまった部分(PCやファッション)が微笑ましいですが、コアはオーソドックスな分、時間が経っても古さを感じさせない。欧州ならARTE辺りで流しても違和感がないように思います。
鎌倉の海岸の絵は改めて懐かしく感じられました。
オマケにある、(江口寿史さんの)主人公の表情ノートが、ある美術本にあるお手本のようであり、手法を変えず繰り返し人物の表情を作り込んでいる様が伺えました。江口寿志さんのキャラクターをこれだけ長く動かしたのは、今はひばり君位しか思う浮かばないので、ある意味貴重な動画かもしれません。
DVDであるというだけで十分に画質に注意を払って焼かれるのでしょうが、高画質な手法を奢っている点、5.1chになっていて、サウンドに厚みが加わった点も楽しめました。
ビジネス
思えば、高校時代にはまりにはまり、そしてあっという間に解散してしまったビジネス。
しかし、レコード会社の都合(倒産?かな)などで、CD化がお蔵入り。
とかいって、昔のLPも聞くことができず、このCD発売をずっと待っていました。
そういう人が多かったと思います。
「ビジネス」ってなんじゃ?
と思う人も、聞いてみてください。
80年代の音楽という古さを感じさせません。