世界で一番いのちの短い国―シエラレオネの国境なき医師団
本書は,私が国際人道援助について考える入門書となりました。平均寿命35歳という国があるという現実.紛争地域に中立の立場で援助をし続ける国境なき医師団というNGOの存在意義.そしてそれに参加する面白さ。色々と見えてきます。
その中で私が感銘を受けたのは,山本敏晴さんの「辛さを明るさで補う」心構えの部分です。見方によっては,地獄とも呼べる所で働きながら,病院での苦労話をからっとしたしゃべり口で,明るく語ってくださいます。
2時間あれば読める本ですので、お気軽にどうぞ。
国境なき医師が行く (岩波ジュニア新書)
外科医長の職を辞して、医者としての原点にたちかえるため
NGO「国境なき医師団」に志願し、ミッションに参加した医師の回想的エッセイ。
著者が初めに赴任したのは、アフリカのリベリア共和国。
政情的にも不安定で、医療体制は崩壊状態の現地におもむいた著者は
日本では考えられない手術の数の多さ、難しさ、医療機器の不足に悩みながら
ミッションにあたっていきます。
現地の方々はもちろん、病院のスタッフも各国からの志願者で構成され
会話や、薬などの専門用語の扱いの違いにも悩まされます。
特に著者にとって印象深かった症例も数件、あげられており
患者だった人々の人生も垣間見られます。
現地の劣悪な医療状況、政情の不安定さがもたらす事故や争いごとの怪我の多さ、
交通網や情報の未熟さゆえに、医療がうけられない人々の多さ。
わかっているつもりでも、ひとつひとつの症例を見ると
ただ生まれた国が違うというだけの格差に、怖くなります。
けれど医療という、人間が発展させた技術に対する彼らの敬意には
医療行為を受けられることのありがたみと、
医療行為は万能ではないが、それが当然なのだという現実を再確認させられました。
読みやすい文章で、心に残るエピソードいっぱいの本でした。
シエラレオネ―5歳まで生きられない子どもたち
この本はとても価値のある本です。
私たちはこの本から学ぶべきことがあります。
身勝手な欲望のために、過酷な状況に追いやられたシエラレオネの人々の苦しみ悲しみ痛みから。
それでも目の輝きを失わず、眩しいくらいの笑顔をこちらに向けるシエラレオネの子供達の強さから。
危険な荒れ地へ向かい、シエラレオネの人々のために働かれたMSFの愛、勇気、忍耐の奉仕から。
写真に簡潔な説明や著者の思いが添えられていて、大変読みやすい本です。
あとがきに著者のボランティア観が書いてあるので最後まで読んでからもう一度読み返すと、また違った発見があるかもしれません。