メタリック・スフィアーズ
The Orbの作品としては及第点。
で、Pink FloydのDavid Gilmourが参加すると?というのが焦点。
アンビエントな空気の中で彼のギターがどれだけマッチするのか?というのは多くの人が疑問に思っているのと思う。実は、それ以前にAllan Personsのアルバムでそういう曲でのギターを披露していたので、それを耳にした事がある人は、そこを思い浮かべてもらうと判り易い。
The Orbのアンビエントな空間上でGilmourのギターが泣く。時として鋭いナイフのような音も聴かせる。また、歌い方はFloydと若干違うが、彼の声というのがうまくはまった作品となったと言える。
決してLive向きではないが、Gilmourの新境地としては、ファンは受け止めて彼の今後に思いを馳せるのも良いと思う。
ただし、トラックで2曲という表示には、気持ち的に楽ではない。
苦行ではないが、やっぱりもう少しトラックを細分化して欲しかったと思う。
最後に一番重要な点としてはGilmourのソロではない。ここ重要。
覇響 [DVD]
近年のデヴィッド・ギルモアによるライブ映像作品としては、94年のピンクフロイドとしてのツアーを収めた『PULSE』、2001年のソロしてのライブを収めた『In Concert』に続くものです。壮大さを極めつくした『PULSE』、それとは真逆でアコースティックを多用してリラックスした雰囲気が魅力の『In Concert』の、いい意味で中間をいっている感じです。つまり、ギルモアやフロイドのエフェクトを駆使した立体的なサウンドを聞かせるのに十分な壮大な照明と音響は使っているけれど、壮大になりすぎないでバンドが音楽自体を十分に楽しむこともできているという、そういう意味で非常にバランスのよい作品だと思います。
内容の方は、やっぱりなんと言っても“echoes”のフルバージョンが聞けることでしょう!何より、年齢を重ねた今の彼らが、リックライトのイントロが始まってからエンディングまで一瞬たりとも緊張感を絶やすことなく、当時と変わらぬテンションで、熱のこもった演奏を聞かせていることが驚きでもあり感動的です。年輩のアーティストにありがちな“守りに入ってる”感をまったく感じさせない、あの曲の非常にダークな部分まで含めてごく自然に表現されているあたりが凄いです。この一曲のためにこのDVDを買っても絶対損じゃないといえるほどのものです。
総じて、照明やステージセットなど楽曲に見合った環境で、バンドが音楽に集中して熱のこもった演奏を展開していることがこの作品の一番の見所です。ピンクフロイドという名前から解放されたギルモアやリックライトによって、本当に純粋に音楽に集中して演奏される音の説得力は、『PULSE』とは比較にならないくらいです。
他の見所を整理しておくと、
1、最新アルバム『On An Island』の完全再現
2、豪華なゲスト陣
3、豊富なボーナス映像
といったところでしょうか。
1、については、僕は正直アルバムは淡白な印象を受けたのですが、こうしてライブでみるとアルバムとは比較にならないくらいの熱のこもった演奏で、印象が変わりました。
3、については、ツアーのドキュメンタリー映像がおもしろいです。ツアー中に偶然(?)ロジャー・ウォーターズに遭遇して短い会話を交わすシーンなどはファンなら興味深いところでしょう。その他、リックライトや他のツアーメンバーのキャラがよくわかる良心的なドキュメンタリー映像です。
とにかく、すべてのフロイドファン必見なのはもちろん、最新アルバム『On An Island』があまり気に入らなかったという人にもお勧めできる作品です。数年に1枚出るかどうかの、ライブDVD作品の名作だと思います。
狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク(DVD付)
Live at the Royal Albert HallのLive CDも出ないかなと期待していたら、こんな形で出してくれました。2006年8月26日、GDANSK(ポーランド)でのLiveです。曲順や内容は、the Royal Albert Hallの1部は同じで、2部にあたるCD 2の曲が若干異なります。もちろん最大の聞き物は「Echoes」で、GilmourとWrightの掛け合いは素晴らしいです。CDだけの2 Discヴァージョンもありますが、ぜひDVD付きの3 Disc Editionをお勧めします。
ザ・ロストワールド3 未来からの訪問者 [DVD]
日本ではNHK-BSで放映された米国TVシリーズの切り売りDVD。
まるで見たこともない顔のマイナー役者陣、いかにもCGのヘボ恐竜、ハロウイーンの変装並みの類人猿と、まるでいいとこ無しのドラマのようでいて、しかしその中で唯一燦然と輝いているのが、ジェニファー・オデール演じるヒロイン・ヴェロニカの存在。女ターザン風、肌も露わな衣装で走るわ闘うわ大活躍。しかもこの3巻目では大勢の男たちに誘拐されて首元を舐められちゃったり、変な科学者に捕まって檻の中で類人猿と交配させられそうになっちゃったり、まあ、TVなんだからあまり期待しちゃいかんがサービス精神旺盛な方。そういうのが嫌いじゃないなら「買い」かと。。。
狂気のプロフィール
Pink Floyd的な要素をもった曲と、それとは違った面も見せてくれる曲が同居していますが、Pink Floydという名前にとらわれずに、当時の「彼自身」を表している作品。"Until we sleep"や"Blue light"のようなダンサブルなナンバーや"Murder"や"Out of the blue"のような、いかにもといったナンバーを表現してみて、このアルバムで彼はその後のPink Floydの方向性を見出したかもしれません。80年代後期以降のPink Floydの土台といえます。