Still Life (Talking)
人は誰も、ずっと心に秘めているものがひとつやふたつあるはず。それはたとえば、学生時代の苦くも淡い記憶だったり、夢中だったあの頃の自分だったり‥せわしない毎日、いつの間にか人生半ばが過ぎた頃、「音」や「言葉」をきっかけに、忘れかけてた鼓動が甦る瞬間もある。
先日、いつものように出張続きの週末、帰路に向かうJALの座席でパラパラと機内誌をめくると(大好きな)「STILLlife(talking)」のジャケットとともに載っていた「人生そのものを旅に変える音楽」と題する文脈に目を奪われた。
「中学生の頃、ひとつ上の先輩に恋をしたまま卒業した。その時実らなかった恋は、高1の冬になって突然、季節外れの花を咲かせたのだが、お父さんの仕事の関係で海外に引越した彼だったから、冬休みの帰国中だけ会えるようなそんな愛おしいつきあいだった。ある冬休みの終わりの旅立ち前、彼がいつも大事にしてたパット・メセニーのアルバムをプレゼントしてくれた。ジャケット写真のコラージュの雰囲気にも惹かれ、それ以来、会えない寂しさのなかで、どんな時にも何かを紛らわすかのように曲を聴いて時間を埋めた。あれからずいぶんと月日が経った今、これほどまでに自分の人生に寄り添うアルバムになるとは思いもしなかった。今も旅にはこのアルバムを必ず持参するのだが、すっかり人生のサウンドトラックになってしまった‥いつかの出会いに、今日も感謝する」(途中文略)
クリス智子さん(J-WAVEパソナリティ)の素晴らしいエッセイだったが、帰宅してひとり、自身もその昔、何度も繰り返し聴いた「STILLlife(talking)」にあらためて耳を傾けてみた。秋の気配をもり立てるメセニーの「楽曲」と、切なく共感的な「エッセイ」のおかげで、25年前のあの日が甦る瞬間を、たしかに感じとることができた。
スピーキング・オブ・ナウ ライヴ・イン・ジャパン [DVD]
楽曲としては We live here, imaginary day、などの実験が終わり、近年原点回帰しているように見えます。実際のライブでも前2作の楽曲はあまり含まれておらず、むしろ first circle や minuano など80年代の曲も多く演奏されました。
ただしこのDVDでは、新アルバムの楽曲がメインにセレクトされています。
Paul Wertico 脱退後、CD の方の speaking of now では大きくサウンドが変化したように感じていました。
良くなったのか悪くなったのか、このライブを見るまで感じることができなかったのですが、オープニングの「Go get it」での Antonio Sanchez のスティックさばき!背筋がゾクゾクする高揚感を感じました。必見です。ライブでこの演奏が始まったとき、周りの観客から「すげぇ・・・」という声が多数聞こえてきたのを思い出します。
Pat Metheny Group の DVD の中では、最もライブ感があり、余計な演出もなくとにかく楽しめます。
ただし、残念ながら Metheny, Boba, Sanchez の3ピースで演奏したブルースを収録してくれなかったので星4つ。ライブでは一番盛り上がった場面だったんですが・・・。
Road to You
全11曲のうち4曲がこの91年のツアーにおいて発表された新曲。
4曲目のHalf Life Of Absolutionはこの時点においてかなり挑戦的な楽曲だったのですぐには馴染まないかもしれないけど、今は入っていて良かったと思ってます♪
Have You Heard,First Circle,Third Wind。いまやファンなら誰でも知ってる代表曲、このライブバージョン聴かないとはじまりません。これを100点とすると、もとのヴァージョンは80点ぐらいかな。圧倒的にこのライブ盤がいいです。
僕はBetter Days Aheadがお気に入り。上記の3曲はライブを重ねることによって真実の姿を浮き彫りにしたって感じの演奏だけど、このBetter Days Aheadは3分ぐらいの小品でアルバムの時点でほぼ完成している楽曲。
ここでは若干スピードを上げつつも、パットのインプロビゼーションが大幅に盛り込まれ5分以上の楽曲になっている。もともと非常にユニークで美しいメロディーを持っている曲だけど、ここで弾くパットのフレーズがまた絶妙。新たな魅力を引き出している。
ザ・ウェイ・アップ・ライヴ [DVD]
何も足さない、引かない。100% THE WAY UPです。
OPENINGからPART3まで時を忘れて聴き入ってしまいました。
お気に入りはPat+Cong+Nandoが弾きまくる3ショット。
「ああっ誰を見ればいいんだっああぁっ」というライブの興奮がよみがえります。
楽器全体のバランスが良いというのか、とにかく音が綺麗です。
このままCD化して欲しいと思っちゃいます。
映像が16:9というのも良いですね。
Pat Metheny Group
このアルバムに出会ったのはちょうど30年前まだ高校生の頃で、トリオレコードがECMを出していた時代だった。発表されて間もないころだと思う。第一印象は「こんな若いヤツらがこんな音楽つくるのか!」なぜかショックを受けた。
パット独特の音、動と静、ライルメイズの透明感のあるピアノ、ジャコパストリアスのようなマークイーガン、美しいシンパルのダンゴットリーブ。当時20代半ばですでにこのレベルの音楽を造るとは!毎回聞くたびにB面(かつての)エイプリルジョイ、エイプリルウィンドとあるように春の風を感じてしまうのは気のせいではないと思う。曲名を知らなくてもそう感じてしまうだろう。その後アメリカンガレージで少しポップ系にシフトしていったが、パットのアルバムで1枚だけと聞かれたら迷わずこの1枚をおすすめする。