乳と卵(らん) (文春文庫)
私は国語の偏差値が47だったのでこの文章の良さを理解することが出来ず、きっと日本語を使いこなせる達人ならばこの文章が放つ魅力に気がついて新たな文学の楽しみを見つけることが出来るにちがいないので自分もその仲間入りをしなければと目に蒸気機関をつけたように休めること無く読み進めたけれども、ついに最後まで理解することは出来ずあーあ本当に無駄な時間を過ごしたなと後悔した。
これはセットで売られている『あなたたちの恋愛は瀕死』を読んだ感想である。一番はじめに短いほうから読んでみるかとと思って先に読んでみたら糞つまらなかった。このレビューにおいて最も評価されている人が「関西弁で無ければ成立しない」と書いたがまさにそれ。『あなたたちの恋愛は瀕死』は関西弁では無く標準語の作品でこれは本当に読み進めるのが困難なのだ。
では、『乳と卵』に関してはどうかと言えば、実際関西の女性にはこれと同じくらい思ってることをフィルター無しにこちらに伝えるような傾向があるようにおもえるし、この文章を読んでもまったく不思議には思わない。
それどころかまるで関西の女性の友人が一人で来て自分の近辺の話しを聞かせて貰っているような感覚を覚えて魅力的だと感じました
夢みる機械
作家としての川上未映子はよく分かりませんが、
これはとても聴きごたえのある、良いアルバムです。
歌声には芯の強さを感じます。
聞くたびに味が出てきます。
ケイティー・タンストールが好きな人は
これも好きになると思います。
『悲しみを撃つ手』が素晴らしいです。
小説もいいけど、アルバムをもっと出して欲しい。
うちにかえろう~Free Flowers~
少し前(と言っても約3年)に、NHKのCFに使われていた曲でした。 プロジェクトXにかぶせたCFだったので、もしや「中島 みゆき」さんの新曲か?と思ってCDを探した記憶があります。
ハスキーで声量もある、実力もありそうなのに、新作が出てこないですね、ちょっと気になります。
パンドラの匣 [DVD]
太宰治が、パンドラの匣(はこ)を開けてしまい混乱する世に、
匣の隅に残されていた希望という字が書かれたけし粒ほどの
小さな光る石を探し当て、陽の当たる場所で書いた小説で、
「玉音放送」を境に、新しい男に生まれ変わろうと決心した青年の、
“健康道場”と称する風変わりな結核療養所での日々が、
ユーモアに富んだ軽いタッチで描かれています。
この小説の最大の魅力は、主人公が密かに思いを寄せる看護婦
竹さんとマア坊の存在でしょう。
品性の光を放つ月のように神秘的な竹さんと太陽のように明るく
天真爛漫なマア坊。
口癖が「いやらしい」の竹さんに対して、マア坊は「意地わる」と、
どちらも言葉に色気が含まれていて、主人公でなくても男心を擽られます。
映画でも、療養所での患者(塾生)と看護婦(助手)の挨拶
「やっとるか」「やっとるぞ」「がんばれよ」「よし来た」や、「ア、ト、デ、ネ」
「うち、気がもめる」など小説に書かれてある言葉がそのまま使われていて、
竹さん役の川上未映子(芥川賞作家で映画初出演)や
マア坊役の仲里依紗(金歯を嵌めて好演)の口から発せられると、
日本語の響きの良さがストレートに伝わってきて、
ドキリとさせられてしまいました。
太宰治は本作で、『芭蕉がその晩年に「かるみ」というものを称えて、
それを「わび」「さび」「しおり」などのはるか上位に置いたとか、』と
文中に書いているように、すべてを失い、すべてを捨てた者の
平安の中にある「かるみ」を表現したのですが、
1947年に「看護婦の日記」のタイトルで最初に映画化された作品を
太宰治が観て、本当の意味での軽薄さ“かるみ”が作品にはないと
酷評したそうです。
その後60年以上の歳月を経て、冨永昌敬監督によって再映画化された本作は、
ジャズミュージシャン菊地成孔のヌーベルバーグ風の軽快な音楽が印象的な、
お洒落でポップな雰囲気のある“かるみ”を備えた作品に仕上がっていて、
天国の太宰治も納得の出来栄えになっているのではないでしょうか。