Love Song
破滅に向かう僕らの恋。 ありそうでない恋の形、プラトニックラブと呼べるような綺麗な恋愛を、このCDを聴いていて切ないほどに感じました。 一曲一曲が物語になっているのもいいですね。12曲とも設定はバラバラなのにどこか繋がっている。13曲目の「love song」はそのすべての物語を締めくくるように、ゆっくりゆっくり終わっていきます。 riyaさんの声はかわいらしくて、透明感があって好きです。 イラストも独特な世界観があらわれていて、水彩画のような、ぼかしが儚く素敵です。 初めて聴いてから数ヶ月経ちますがわたしはこのアルバムほど感動するCDはないと思います。 ひとつひとつが宝物のようなきらきらしていて切ない。全部好きです。
灰羽連盟 〈期間限定生産〉 [DVD]
剣も魔法も出てこないファンタジー。(ネタバレ注意!)
周囲を『壁』によって囲まれたグリの街には、ハイバネという存在が人間に寄り添うように生活している。ハイバネが何処から来て何処へ行くのか誰も知らない。人と変わらぬ日常を送り、いつの間にか去っていく。それがハイバネの宿命。“その時”まで、ハイバネたちは箱庭に囲われた場所で静かに毎日を送る。
そんなグリの街に“誕生”した新生子のラッカ。彼女は見ず知らずの場所に放り出された自身の境遇に不安と戸惑いを抱きながらも、仲間のハイバネたちの助けを借りて、毎日を送っていく。喜怒哀楽を共にするハイバネたちは家族のように街外れのオールドホームで一緒に暮らす。不安なことがあったり、楽しいことがあったり、不思議なことに出会ったり、いくつものことを経験する。そうしてラッカは平穏な日常を過ごすことで小さな世界での生活にも馴染んでいった。そんな中、仲間との不可避の別れを経験し心に傷を負うラッカ。そのラッカを懸命に介助するレキ。彼女はラッカの存在に自身の救いを投影していた。それでも自分とラッカの違いに苦しみ、自分を否定してしまうレキ。そんなレキを助けるのは、他でもないレキに助けられたラッカ。自身の心の傷をラッカの助けを借りて克服したレキは“巣立って”いく。
優しいけれど、どこか悲しい。暖かいけれど、どこか寂しい物語。しかし癒しを与えてくれる話。ミヤザキ作品のようなヒューマニズムとノスタルジーのゴリ押しも無く、ただ日常に傷付き、それにも耐える“か弱き者たち”の生活を描いた作品です。数々の謎や伏線はほとんど解決されませんが、きっとそれらはハイバネたちの心の交流に比べれば瑣末なことなのでしょう。
総評としては『予定調和の救いの物語』といった趣きでしょうか。派手さもなく、強く訴える強引さもありませんが、見ていてホッとする、僅かな希望を分け与えようとするかのような語り口です。心が弱った時にこそ相応しい作品ではないでしょうか。
少女自転車解放区 (WANIMAGAZINE COMICS)
40人もの自転車好きな漫画家、イラストレーター他が
フルカラーで自分の所有する自転車&女の子を描いている本。
最初穿った目で見てしまい、ただの萌え優先、流行り優先の本かと思いきや読むと結構面白い。
特に鬼頭氏の漫画や、賀東招二氏の購入レポートは楽しんで読めました。
少々お高い価格と少しイラストコラムの字が読みづらい所が難点ですが、
自転車にまったく興味が無い人でも読める構成で、40人の作家さんの中で
自分の好きな作家が多ければ多いほどお得と言えるかと思います。
リューシカ・リューシカ 1 (ガンガンコミックスONLINE)
安倍吉俊久々の単行本。しかもフルカラーコミック。更に言えばギャグ漫画。
という訳で個人的にはすっごく期待していた作品。
で、その期待通りに非常に面白くて、彼独特の雰囲気、笑いに満ちた作品として仕上がったなあ、という感じです。
元々は彼の個人誌での作品ですが、その時となんら変わらぬ雰囲気を纏っているのも嬉しかった。
単刀直入に言えば、所謂小さな子供が色々と悪ふざけをしたり、大人びた発言等で周りを困らせたり、
それによって微笑ましい雰囲気にするような、そんな漫画。
こうして書くとありふれている題材に思えるし、実際に同ベクトルを向いているであろう作品のタイトルもすぐ浮かぶのだが
それらと違うのは、リューシカはあくまでリューシカというか、不思議生物として描かれている事と
これは成長物語ではない、という事。実際教育的要素はあるようで殆どないと思われる。
その点では過去作の「NieA_7」に通じるものがあると思う。キャラが変わっただけで、方法論としては同じというか。
だから、あの作品を好きな人は多分この漫画も好きになると思うし
これから新たに読み始める人にも、割とすんなりと気に入ってもらえるような作品になっていると思う。
素直に面白い!って感じる漫画というか
頭使わずにスラスラ読める漫画というか。
ある種、絵本を読んでいるような感覚も個人的にはありました。
どの話もきちんとほんわかしていて、ちゃんとしたギャグを盛り込んでいる。情感のあるシーンも沢山。
何よりリューシカの行動はいちいち突飛で、先が読めなくて、でもどこか哲学的で、けどやっぱり可愛くもあって。
最初のだるまの話から爆笑できる力があると思います。
王道の題材にしっかりと取り組んで、最終的にはやっぱり安倍吉俊っぽい漫画に仕上げた印象。
コストパフォーマンスも割と良いと思うので、その意味でも是非オススメの漫画。 ダラダラと読んでいたくなります。
ちなみに、「NieA_7」でも御馴染みだったあの方との対談も巻末に収録。懐かしすぎて笑いました。
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
意思疎通ができない異世界生物との戦闘。戦術なんていう華麗なものがない消耗戦の中、戦場に叩き込まれる初年兵。あえなく戦死…と思いきや、目が覚めると出撃前だった。
作者の別作品、「よく分かる現代魔法」とはまったく別のテイスト。はじめは重過ぎる出だしに少し躊躇したが、読み進むに従って、その物語に引き込まれていった。
なぜ彼は、彼女は同じ日を繰り返しているのか。その答えと共に物語りは収束する。上下分冊として、もう少し書き込んでも良かったのではないか。それだけの深さのある作品だと思います。