国家は破綻する――金融危機の800年
1.内容
公的対外債務危機も、国内債務のデフォルト(債務不履行)も、銀行危機も、すべて以前から繰り返されてきたことであり、「『今回はちがう』」(目次参照)ということはなかったということを、豊富なデータを用いて明らかにした本。「国も銀行も、個人も企業も、大好況期が永久に続くはずもないのに、後々の危険を十分認識しないまま、景気のいいときに過剰に借り入れる習慣を繰り返してきた」(p12)結果、景気が後退局面になると、デフォルトをしたり、インフレ(貨幣価値下落)になったりする。ただ、これらの危機は克服した国もある。しかし、銀行・金融危機は、いまだ克服できていない。金融抑制も極端だが、規制緩和は過剰な資本流入を招き、金融危機を引き起こすことは肝に銘じるべきだろう。
2.評価
データの解釈の良し悪しは調べていないが、大変面白い本である。デフォルトであれ金融危機であれ、共通している部分を明らかにしたのは評価できる。本書の知識を頭に入れながら、経済ニュースを見れば、たぶん理解は深まるだろう。処方箋がイマイチと評価も可能だろうが、本書の分析の貴重性からすれば、大したことではないと思うので、星5つ。