ショパンに愛されたピアニスト-ダン・タイ・ソン物語
ダン・タイ・ソンは、ここ十数年でさらに活躍の場を広げ、日本にも多くのファンを持つピアニストである。近年、日本人、アジア人ピアニストに対する注目が、また集まっている気がするが、僕はダン・タイ・ソンこそがアジア人ピアニストの認知度を上げた立役者であると思っている。彼の演奏はCDを聴いてもらうしかないが、この本は、彼の生き方はもちろん、音楽に対する意見が述べられており、音楽が好きな人、ピアノ曲が好きな人には、違ういみで楽しい本だと思う。「あぁ、彼はこの作曲家をこう解釈しているのか。こんな考え方もあるのか」と、違う観点からいつものクラシック音楽を発見できるだろう。
それにしても、ベトナムの戦時下、戦火を逃れながら、紙の鍵盤でピアノを練習したというエピソードには驚いてしまった。今の日本の音楽教育環境は、一体なんなのだろうか…。彼のピアノに対する情熱には、敬服するとともに、一個人として「そんなにも傾倒できるものをもっていて、幸せだろうなあ」という感慨さえも抱かせてくれた本であった。
是非、クラシックに興味の薄い人も、この一流ピアニストについて興味を持ってもらいたいと思う。
ショパン:ピアノ名曲集
私がダン・タイ・ソン氏のピアノと出会ったのは氏がショパンコンクールで優勝した直後でした。
私はまだ小学生でしたが、涙が勝手に出てきて心臓が高鳴ったのを覚えています。
その頃から20年以上経ちますが、ようやく何故彼の演奏が好きなのかが分かった気がします。
若々しく素直に表現されたショパン、広がる未知の世界への期待。
ショパンの歴史だけならずソン氏の未来への可能性までが感じられる演奏でした。
ソン氏もピアニストとして成長を続けていますが、若かりし頃の氏のこのプログラミングや演奏が、沢山の思い出を呼び起こさせてくれて感慨深いです。
有名な曲ばかりですので、人にショパンを勧めるとしたら迷わずこの一枚ですね。
ショパン:ソナタ全集
他の方々が絶賛されているのでこれ以上言う事はありません。素晴らしい演奏です。正確なテクニック、絶対に音が濁らないペダリング、柔らかい音、詩情豊かな表現・・・聞き惚れます。聞くたびに心を持っていかれてしまう一枚です!