仔羊の巣 (創元推理文庫)
『青空の卵』の続編です。
まず、タイトル名(『青空の卵』→『仔羊の巣』)からして物語の広がりを表している。
本作は全作にも増して1篇1篇が長くなっており連作中編集と呼ぶべき内容となっている。
またまた新たな出会いが起こります。
人と人との暖かいつながりは前作以上に表れており読んでいて心地よい。
鳥井の自慢の料理シーンや名推理より、周りの登場人物の活躍が目立ったような気がする。
1篇目では同僚の吉成くんや佐久間さん、2篇目ではは土屋さんや利明くん、最終篇では矢崎さん・・・
特に最終章ではかなりの人物が総出演といった感じで出てきて、季節感も上手く醸し出して(クリスマス)なかなかのものです。
個人的には最年長の栄三郎さんの存在感が作品全体を引き締めて!るような気がしました。
それも究極的には坂木と鳥井の仲のことが発端となって起こった事件なんで余計に面白く仕上がっている。
作者にとって、坂木さん(登場人物の)って理想の男性なんでしょうかね?
お人よしみたいに言っててそれが謙遜みたいに受け止めてしまいました。
それにしてもふたりの仲はどこまで良くなり続けるのでしょうか?
三部作らしいのであと1作楽しみにしております。
最後は長編らしいですよ。
前作を読まなければ理解し辛いであろうことをつけくわえておきます。
青空の卵 (1) (ウィングス・コミックス)
まず、藤たまきさんに坂木司さんの「青空の卵」(ひきこもり探偵俺様な鳥井と、そんな鳥井の理解者坂木の人間模様あふれる推理小説)を描いてもらおうとした編集者の方はスゴイと思いました。
なぜなら藤たまきさんも原作者の坂木司さんの世界観が現実に即していて、そして矛盾するようですが繊細な表現で、愛読者に共感を得ているからです。けれど、鳥井が情緒不安定になってしまうのは、案外あっさり描かれているので拍子抜けする読者の方もいるかもしれません。
■第1章「夏の終わりの三重奏(前編)(後編)」/第2章「秋の足音」1〜6が収録されています。雑誌「WINGS」(新書館/偶数月28日発売)2010年12/28日発売の2月号から、新章「冬の贈りもの」篇がスタートしているそうです。わたしは、単行本買いで新刊がでるコミックがひとつ増えて、とても嬉しい気持ちです。原作のコミック化に関してはそれぞれの読者にイメージがあるので難しいですが、このコラボによって、藤たまきさんと坂木司さんの愛読者が増えると良いなと思っています。
Sweet Blue Age
三羽省吾「ニート・ニート・ニート」目当てで手に取ったわけですが,これだけでは面白さを判別できず。あそこまで舞台を整えたんなら,その先には大泉洋も真っ青のロードムービー的世界が控えていそうな気がするけど。続編に期待。
その一方,これまで自分には合わないと思っていた角田光代「あの八月の、」や有川浩「クジラの彼」の方がしっくり来た。ちなみに一番面白く読めたのは日向蓬「涙の匂い」。相手役の同級生が朴訥としていい感じ出してます。
森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」は以前読んだのでスキップしましたが,この本の作品群と並べるとその世界観の異質さは突出してます。
ワーキング・ホリデー (文春文庫)
坂木司さん引き出したくさんありますね!こうきましたか〜
ホストクラブ部分だけでも1冊分くらい書いて欲しいくらい
面白いのに惜しげもなく第一章ですっぱり。わーんもっと読みたい!
もう文句なく面白いです。
登場人物一人ひとりが魅力的なのに1冊のなかでは書くのにも
限度があるというのが不満なくらいです。
超個性的な人ももちろんいますが、普通の人もこんなに魅力的なのは
作者の坂木司さんが普通の人をドラマティックに見る目を持っている
からなのでしょうか。
毎度しつこいようですが続編を期待しています。
あと今までも出てはいましたがこれからは迷うことなくすっぴん&
パジャマひざぽっこりでも宅急便を受け取ります。
切れない糸 (創元推理文庫)
突如亡くなった父の後を継いだ主人公新井和也
商店街の人たちはエキスパートの集団だという
現在の商店街が見落とされがちな特徴を再認識させ
父の後を継いだ和也の成長と合わせて人間関係を再度見詰め直させる
希薄な人の繋がりや、始まったばかりの仕事への不安や不満
もつれた糸をほぐすのは、とても地味で邪魔臭い
そのほぐれた先にある何かをこの本はじわじわ感じさせる
切れない縁を紡ぎたくなる心穏やかになれる本でした