仮面ライダー 1971-1973
2002年と2003年に講談社マガジン・ノベルズで「誕生-1971」「希望-1972」として出版された、小説版「仮面ライダー」、7年を経ての完結編です。
前2作が絶版になった事もあり、今回版元を改めて、新作書き下ろしの「流星-1973」を加えた、3部作合本という仕様になっています。
「仮面ライダー」を題材にした創作があまたある中でも、ライダーファン、原作漫画ファンともに最上の評価をされていたこのシリーズが、待ちに待った完結となりました。
舞台は1971-1973年、あのTV番組が放映されていた、正にその時代。
物語には、疎外されながらも、生きることにひたすら誠実な主人公、本郷猛が登場します。
不器用な・・・・・・愚直な男だといっていいかも知れません。
しかし、そうであるからこそ、彼には、あのヒーローの名を、名乗る資格があるのです。けっして超人的な力を持つ故ではありません。
絶望と諦観の淵に身を置くことで、生み出され、輝く、崇高な魂。
この作品、もちろんファンへ向けての目配せは満載ですが、必ずしもかつての仮面ライダーを知る必要はありません。
普遍性をもった「太い」物語だからです。
今、誰かのために、もがきながらも生きている大人たちのための物語だと思います。
感動的なエピローグまで読み終えれば、誰でも明日への元気をもらえることでしょう。