多田武彦「雨・雪明りの路」
畑中良輔指揮慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団と福永陽一郎指揮関西学院グリークラブによって演奏される男声合唱組曲『雪明りの路』を聞き比べ出来ることは嬉しい限りです。
大学の男声合唱団がメンバーの減少により往年の輝きを見ることが出来なくなった現在、このような過去の名演奏をたどることは日本の男声合唱の歩みをたどることと同意義を見出すことになりそうです。
御存知のように東の代表慶應ワグネルと西の代表関学グリーの競演です。ステージを数多く聴いてきたファンにとってこれらの演奏は、30年以上前の収録ではありますが、往年の素晴らしい演奏を追確認できます。厳密に聴きますと、微妙な和音の狂いも見うけられますが、当時の学生諸君の思いが如実に伝わってきます。
「春を待つ」の温かい響き、「月夜を歩く」の密集和音のハモリ、「雪夜」の終盤の美しさ、名曲揃いですね。
「雨」は、吉村信良指揮京都産業大学グリークラブと北村協一指揮立教大学グリークラブによる演奏の競演です。この終曲「雨」は多田武彦による数多の作品の中でも一番美しい趣を携えた曲でしょう。八木重吉の簡潔な詩にとても美しいメロディとハーモニーを充てています。男声合唱の真髄とも言えるハモリを体感できる曲なのは間違いありません。尾形光雄さんのテノールソロは感涙ものでした。
痛みと歪みを治す健康ストレッチ
ストレッチの本を何冊も見比べて、評判の良かった本書を購入しました。
痛みの原因や骨盤の仕組み、ストレッチの重要性、ストレッチの正しいやり方に関する
詳しい情報が掲載されていて、最近間違ったストレッチで腰を痛めたばかりでしたので
本当に買って良かったと思いました。
ストレッチは体にいいのですが、やり方を間違うと逆効果になってしまいますので、
危険性を考慮して詳しく説明がなされている本書は本当にオススメです。
写真はカラーで見やすいし、色んな種類のストレッチが紹介されていて、どの部位の筋肉を
伸ばさなければならないのか、写真を塗りつぶして指し示されていて分かりやすいです。
欲を言えば、上から下にやって行くのがストレッチの正しいやり方だと言うのなら、
「首→肩→腰・・・」ではなく、「ふくらはぎ→太もも→尻・・・」という順番でストレッチを
紹介して頂いた方が読者には使いやすかったと思います。
長年のデスクワークのせいか、腰痛と坐骨神経痛に苦しみ寝たきり生活の時もありましたが、
地道に無理せずストレッチを続け、最盛期の痛みを10とすると現在はほぼ0になっています。
腰痛の時は体がとても硬かったのですが、体に柔軟性が出来てくるにつれ、腰の調子も
どんどん良くなってきました。
巻末に腰痛にならない為の正しい動作フォームが載っていますが、腰痛のみならず
美しい姿勢や立ち居振る舞いを身につける為にも利用出来ます。
絶対に手放せない、常備本になりそうです。
日本文学盛衰史 (講談社文庫)
近代日本文学史が日常生活の一部になっている仕事柄、二葉亭四迷や自然主義という言葉がパロディとして出てくるだけで楽しくて仕方なかったです。ただ、分かち合える人が身近にいないのが残念ですが、人に言えない習慣、ですかね。個人的には鴎外が良かったです。又引きになりますが、金井美恵子だか河野多恵子だかが言った「内輪受け」(もちろん良い意味のつもりですが、良い意味にはなりえないのかもしれません)の極地という印象を持ちました。
(追伸)09.3.30
最近は氏のいろいろな文章を授業で生徒に読ませています。上記の森鴎外の件りなどを読んだ生徒は好奇心をかき立てられるのか、「舞姫」や「野菊の墓」を読んだりしています。受験では困ると思いますが。いや、困らないか。かえって鴎外らが彼女らのなかで活き活きと動き出し(これもある種のメタフィクション?)、ひとりでも文学の面白さに開眼すれば、ですよね。別に渡辺淳一への好奇心を喚起したわけでもないし(渡辺淳一に関する文章はさすがに読ませませんでした)。
日本合唱曲全集「雨」多田武彦作品集
多田武彦作品は、日本的な叙情性、高い完成度を有し、代表的な男声合唱曲である。
このCDは、その多田作品の中でも、代表的な名曲4曲を最高峰の合唱団が歌ったもの。
○「雨」・・・・京都産業大学グリークラブ(1989.3.26 吉村信良指揮)
○「柳川風俗詩」・・・・関西学院大学グリークラブ(1967.9.11 北村協一指揮)
○「中 勘助の詩から」・・・・関西学院大学グリークラブ(1971.3.11 北村協一指揮)
○「雪明りの路」・・・・・慶応義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団(1969.5.24 畑中良輔指揮)
○「草野心平の詩から」・・・・慶応義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団(1971.2.17 畑中良輔指揮)
どの演奏も、うなるぐらい上手で完成度が高く、当時の大学グリーの実力に感心する。
あまり合唱のCDが手に入りにくくなっている中で、ほんとうに貴重な珠玉の1枚といえる。
日本合唱曲全集 多田武彦作品集
数少ない、男声合唱のみを扱ったCDです。
アカペラ専門作曲家:多田氏の作品には抒情的作品が多く、
男声合唱を経験した者であれば、多田氏の名を知らぬ者は恐らくいないでしょう。
日本合唱曲全集の中で、このCDが最も良く売れていたのもうなづけます。
このCDの目玉は、男声合唱組曲「雨」の中の終曲:雨です。
平易な言葉、平易な旋律、平易な和声の中に、
底の知れない人生への「問い」が込められています。
また、演奏団体は知る人ぞ知る、男声合唱の名門、京都産業大学グリークラブです。
この団体の歌った雨に勝る演奏が今後現れることは無いでしょう。
この曲の中で独唱を担当する、尾形光雄氏の声がまた素晴らしい。
他にも男声合唱の真髄とも言うべき作品がずらりと並んでいます。
どれも日本人の心を打つような作品ばかり。是非お聴き下さい。