Choke
ストーリー全体の流れは軽いので、スイスイ読めてしまいます。驚く様なひねりがある訳ではないけれど、どうなるんだろう・どう繋がって行くんだろう・・・と読み進みたくなるようなプロットです。どきどきハラハラさせられる本ではないですが、私はセックス中毒に関する本を読んだのは初めてだったので、インパクトは結構ありました。話の詳細な部分はダークな部分有り、グロテスクな部分有り、ユーモアな部分有り、哲学的な部分有り・・・とバリエーション豊富で飽きないです。後味的にはちょっとCatcher in the Rye (ライ麦畑で捕まえて)に通じるものを感じました。が、そこまでヘビーで考えさせられる本ではなく、エンターテイメントとしてさくっと読める感じです。悩んだり落ちこんでいる時ではなく、自分の精神がある程度安定している時に読んだ方が楽しめそうです。
So Far From Real
ぼくは昨今の洋楽ヒットチャートなるものにはまるで無頓着である。そんなぼくと「Cauterize」の接点は以下の通り・・・。「1080」という任天堂ゲームキューブのスノーボードゲームを買った。任天堂のゲーム音楽はこれまで社内制作のものを使っていたのだが、今回初めて、制作者たちがスノーボードのイメージソングを洋楽からチョイスし採用したのである。いつもゲームをする前に煙草を1本吸いながら、オプションメニューにあった彼らのビデオクリップ(オープニングテーマである「choke」)を見ていた。何度も聴いているうちに、彼らのサウンドがきゅうりのようにクールなことに気づく。他の楽曲もぜひ聴いてみたい。・・・という次第。何が「きっかけ」になるか、全くわからないものである。
チョーク! (Hayakawa novels)
「ファイト・クラブ」のパラニューク作品なので、あの癖のある文章と随所にちりばめられた豆知識と過激な名文句は言わずもがな。
読後感は、「そんなにもてまくりなのかよ!!」というものなんですが、まあ主人公の境遇が境遇なので、許せます。
これは「ファイト・クラブ」のテーマの延長線上にある結晶と言えるのではないでしょうか?
そして、彼の中でもある意味マイルストーンのように思えます。
というのも、
次作のララバイでは少しずつテーマが変わっていきます。
多分この人は、これから社会的前提の論破と再構築をテーマに書き続けていくんだろうけど、そんなこと無関係に読むのが楽しい話をかける人です。
モノを書いている人間として、正直、嫉妬します。
TECHNODON REMIX II
リミキサー=パターソンはTHE ORBの『OXBOW LAKES』でミキシングを担当しいた人物。リミキシングにルールなどないのだから『解体』と『再構築』の腕前とセンスを聴けばいいと思う。YMOは素材なのでこのさい忘れた方がよい。リミキシングされた楽曲が平均10分台になって5曲ある。
かなり『アブストラクト=抽象的』なサウンドをねらったようだ。へたにYMOにコビを売るようなのよりも、こういう風にまったく違う世界を構築してくれたほうがよい。ずたずたに切り裂きそこから新たな世界を構築している。ここにはYMOはない。パターソンの頭の中にある『美的な世界のみだ』。
聴く人には相当な衝撃が与えられることになるだろう。アンビエントダブになっているのだから。これはパターソンというリミキサーによる独自の作品と考えた方がよい。決し!て『楽しもう』などとは考えずに『サウンド体験』をすると考えればよい。
時間と言うものが微妙にずれていき、歪んでいくさまを体験したいなら聴くべきだ。そういう意味では成功しているアルバム。
10点中8点 サイファイワールドが好きな人におすすめ