スティーヴ・マリオット・ストーリー [DVD]
91年寝煙草による火災で焼死したスティーヴ・マリオットを回顧するDVD。インタビューが主体でライブ映像は少ないが、クレム・クレムソン在籍時ハンブル・パイの映像があるのがうれしい。「アイ・ドント・ニード・ノー・ドクター」が丸々1曲収録してある。このライブ映像は本当に凄い。スティーヴの火の玉シャウトとパフォーマンスは、今まで見たスモール・フェイセスやピーター・フランプトン在籍時のパイ、また84年のパケット・オブ・スリーの映像とは比べ物にならない。160cm強の華奢な体から発せられる強烈なパワーはまさにダイナマイトだ。スティーヴの絶頂期がこの時期であることがはっきり分かる。この時期のものはもう1曲「ブラック・コーヒー」が収められている。スタジオでの映像と思われるが、ブラックベリーズとの息の合った掛け合いが聴ける。インタビュー映像に寸断されてしまっているのが残念。他にもこの時期の映像があるのだったら、ぜひ演奏をきちんと収録したDVDを出してもらいたい。
インタビューでは、スティーヴとの友情と確執の想い出に思わず目を潤ませるピーター・フランプトンが印象的。「こいつ友達思いのいいヤツだったんだな」と思った。頭も薄く地味なおじさんになったフランプトンを見て時の流れを感じる。他にインタビュー出てくるのは、ジェリー・シャーリー、クレム・クレムソン、グレック・リドリー、リック・ウィルス、サイモン・カーク、スペンサー・デイヴィス、クリス・ファーロウなど。
インタビューから見えてくるのは、浮き沈みの激しいロック・ビジネス、アルコールとドラック漬けの生活、その結果としての常軌を逸した行動・・・スティーヴも60~70年代のロック創成期を駆け足で生きたロック・スターの一人だったのだとあらためて思う。
※輸入盤のため字幕無し。日本でパッケージされたものは対訳ブックレットが封入。
Smokin
個人的にはハンブルパイのアルバムでどれが好きかと言われれば、やはりこのアルバムになりそうです。
写真やクレジットを見なければ、黒人のヴォーカリストかと思ってしまうほどの熱いヴォーカルのスティーヴマリオットに、これでもかとでもばかりにでかい音でドライヴするグレッグリドレーのベースが印象に残ります。(もちろんデイヴ・クレム・クレムソンのギターも楽曲に上手く溶け込んで、かっこいいです)。またハモンド等のキーボード類がやりすぎずに効果的に使われている部分も非常に好感が持てます。
楽曲もR&Bの影響モロ出しのハードロックから、エディコクランのカヴァー、南部の薫り漂うアコースティックナンバーありと非常に楽しめる内容になっています。またMR.BIGがカヴァーした「30DAYS IN THE HOLE」も収められています。
熱く、エネルギッシュで思わず体が動き出してしまうようなかっこいいロックアルバム。全てのロックファン必聴の超名盤だと思います。
Frampton Comes Alive (25th Dlx Ann Edt)
一般的には知られていないこのアルバムも世界的な
ビッグヒットの一つでもあるので、よーく覚えてもらいたい。
おそらく、各年代の大ヒットアルバムの紹介でも必ずある
アルバムなので、このジャケットは見た事もある人もいるだろう。
とりあえず、このピーター・フランプトンについて。
1960年代後期にイギリスの方で活動していた、知る人ぞ知る
ロックバンド「ハンブル・パイ」のギターとヴォーカルを
担当していたのだが、相方の元スモール・フェイセズの
スティーブ・マリオットとの音楽に対する折り合いが付かず、
脱退した後に、ソロとして活動を再開。1枚のヒットアルバム
「フランプトン(’74)」を出したその後アメリカツアーでも
大成功を収め、その時のライブの模様を収録したのがこのアルバム。
系としては、割りとアメリカンロックに近い何の捻りも無い
純粋なロックなのだが、このアルバムには、先のアルバムの
収録曲であり、大ヒット曲でもある、
3「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」と最近だと
ビッグ・マウンテンにより、レゲエ調にカヴァーされて大ヒットし、
今でも頻繁に耳にする7「ベイビー・アイ・ラブ・ユー・ウェイ」
の元曲が収録されていているし、何よりも、
こう言うライブアルバムには欠かせない観客との一体感や臨場感
などが、とても鮮明に表現されていて、自分もその場にいるような
錯覚さえしてしまう。
実際、そう言う事が多大に評価されて、
全世界で1000万枚を超える大セールスとなった。
普通のアルバムでも、そんなに売れる事は滅多に無いのに、
ライブアルバムでこの偉業と言うのはまさに快挙と言っても
良いだろう。ものすごい貴重なライブアルバムなので、
是非ともその感動を分かち合って欲しいものだ。
Humble Pie
イギリスでは、ミシュランの三ツ星を獲得し、ドバイ、東京、ニューヨークを皮切りに、世界的なレストラン展開に乗り出した、スコットランド出身のシェフ、ゴードンラムゼイ。この本は、彼の波乱万丈の人生を、赤裸々に語った自伝であり、発売前から楽しみにしていた一冊です。
シェフとしての名声を手に入れ、結婚後は4人の子供にも恵まれるなど、一見、順風満帆に見えるゴードンの人生は、いかなる逆境にもめげることなく、強靭な精神力と、料理への情熱を持って邁進し続けた、彼の努力の賜物であることを、この本は教えてくれます。
貧しい家庭に生まれ、父親の暴力に耐えながら過ごした幼少期。プロサッカー選手への夢が絶たれた、挫折の少年時代。そして、料理の道に入ってからも、次々と直面する困難。実話であることを疑ってしまうような、あまりにもドラマチックな展開に、時間を忘れて一気読みしてしまいました。
ゴードンの過去と現在は、彼らしい、非常に感情的な文体で執筆されており、成功の裏に隠された、彼の複雑な心境は、本のタイトル「Humble Pie(屈辱)」として、上手く表現されていると思います。
詳しい内容は、読んでからのお楽しみ。。。ですが、マルコピエールやジョエルロブションとの独裁的な師弟関係、性差別主義者として批判されていることへの反論、そして、ゴードン自身のシェフ哲学が、率直に述べられているあたりは、特に興味深く読むことができました。
「努力なくして成功なし!」と言う格言を、一シェフの実体験をとおして学ぶことができ、また、挫けそうになった時にも勇気を与えてくれる、人生の教科書です。