チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]
前編において、チェは青年医師から真の革命家に成長してゆく「栄光の物語」ですが、後編では一転、ボリビアでの失敗とその死が描かれます。
前編においてチェはキューバ革命を成功に導くわけで異様に高揚感があるのに対し、後編は死までの過程が刻々と描かれているため切迫感が尋常ではない。
ラストの「バルデラーマ」が流れた瞬間に彼の旅はまだ続くのだなと思った。
チェは永遠の旅人だ。死を迎えてもその信念は人々の心で生き続けるのだ。
「人間は死ぬ。しかし、思想は死なない」
オリジナル・サウンドトラック チェ
メルセデス・ソーサの歌う「バルデラーマ」が、
とてもいいです。
アルゼンチンの魂の歌でした・・
キューバでなく、アルゼンチンの歌で締めくくった点で、
チェの魂が、キューバにとどまらず、ラテン・アメリカ
全体のものになった・・と、感じました。
「バルデラーマ」とは、実際にアルゼンチンにある酒場の
名前だそうですが、バルデラーマで饗される酒と歌を人生の
よりどころとする人々が、夜の終わりを名残惜しむ・・という
内容だそうですが、本当の意味は、明け方の空にきらめいて、
夜明けとともに消えてゆく、明けの明星ルシファーに、チェを重ね合わせて、
彼を悼んだ歌だと・・私は思います。
萩尾望都・田中アコ短編集 ゲバラシリーズ 菱川さんと猫 (アフタヌーンKC)
萩尾望都は人間を描きながら、人間ではないものを描く。
事件は日常生活の中で起こる。生と死の分かれ目は、突然。
都会ではなく田舎、春ではなく雪、過去ではなく未来、
後悔ではなく・・・。
そう、人の世界に混じって生きている人外の存在。
ほんの少し、現実の世界からシリアスなバイアスを取っ払って、
かつての「あぶない坂の家」のように、突拍子も無いファンタジー。
肩肘張らずにSF、でも、泣きたくなるようなシチュエーション。
相も変わらず上手い。
そして、若さはちきれる世界ではなく、薄明の中にたそがれる、
手の届かない所へ去っていく、戻れないもどかしさ、切なさ、
生きている存在だからこその出合い、悩み、悲しみ、
そういう心の断片を織り交ぜて、さらりと描く。
年齢の飛騨を感じさせる「軽み」のある作品、短編集だった。
チェ・ゲバラ伝
本書は私が尊敬してやまないチェ・ゲバラの一生が綴られています。
こういう本は著者の知識をひけらかすかのように難しい文章で綴られていることが多々あります。
しかし、本書はそういうことが全くなく、さすが直木賞受賞作家、とても読みやすい文章です。
ただ、そうなるとこんどは内容が薄っぺらいのではないかと心配してしまいます。
しかし、それも杞憂に過ぎません。
読みやすくかつ内容の濃い本書のような本は珍しくかつ貴重だと思います。
チェに関する本は現在日本でも多々出版されています。キューバ革命についてはもちろんのこと、彼が鬼籍に入ったボリビアについてのものも多々あります。
ただ、コンゴでの彼の活動について書かれているものはほとんどありません。
そんな中、本書ではそのコンゴでのチェの活動についてかなり詳細に綴られています。とても貴重だと思います。
本書はいろいろな意味で貴重な本ではないでしょうか。
ソレデハ…