スイス山岳列車の旅
テレビの「世界の車窓から」を見て、アルプスを走る登山鉄道に乗って旅行してみたいと憧れていましたが、この本を見つけてからは急にイメージが膨らんできて、夢が現実の旅行へと大きく進んできました。
ページをめくっては、まだ見ぬ土地に胸をわくわくさせていますが、ユングフラウ近くの玩具のような登山電車や、ベルニナ線のあたりの澄んだ空気と紅葉の美しさ、牧草地と綺麗な花々、青白い氷河の絶景にただ見とれてしまい、スイスにはこんなに変化に富む鉄道がたくさんあるのかと再認識させられました。
夏に旅行しようと考えている私には、素敵なカラー写真で具体的なイメージを描かせてもらっただけではなく、鉄道旅行のノウハウは細かいところまで配慮してあって役立ち、モデルコースも参考になりました。
夢の山岳鉄道 (新潮文庫)
1993年にJTBから出た単行本の文庫化。
登山鉄道に乗る話ではなく、新たに登山鉄道をつくろうという話。近年、ものすごい人手に悩まされる上高地。それを見た宮脇氏は「登山鉄道で全て解決できるのではないか」と思ったのである。道路を廃止して跡地に鉄道を敷く。用地は半分以下ですむし、排気ガスや騒音からも解放される。そして実際に路線図を引き、ダイヤグラムまで考えてしまうのである。環境に配慮した現代的なアイデアだし、現実性も高い。
同様に富士山、屋久島、比叡山などでも登山鉄道の企画が立てられる。二番煎じの感が強く、すぐ飽きが来るけれど、面白い一冊であった。
しかし現実に列車に乗った記録ではないために、宮脇氏本来の魅力は薄れてしまっている。
ウェールズのスノウドン登山鉄道など、ヨーロッパの実在の登山鉄道に乗った記録も合わせて収められている。