青空娘 [DVD]
本作はロケが多く、昭和32年の東京の風景がたくさん出てくる。木造の東中野駅や茶色の中央線、昭和色いっぱいの遊園地。戦前の風情と戦後のアメリカナイズが合わさったような小野家の様式。華やかなキャバレー。どれもこれも今では影も形もないものばかりだ。そんな情景のなかで若尾文子扮する有子が画面狭しとはじけまくる。基本はハイテンションムービーであり、色使いなどもかなり派手目だが、観終わったあとにはなぜか爽やかになる良作に仕上がっている。とにかく若尾文子が文句なしにかわいい。可憐な女優はたくさんいるが、ここまで弾けてもサマになる女優はそうそういない。一応小野家の家人が悪役として描かれるが、有子を嫌う理由もわからないでもない(笑)し、複雑な感情を演じた沢村貞子も見事だった。劇中「人間は手をグーにして生まれてくるが、死ぬ時はパーになっていて、全てを解き放つんだ」という魚屋のセリフがあるが、なるほど勉強になるなあ、と思わせる。癒しムービーとしても最適なので、疲れた時にはぜひお勧めしたい一作である。
社長道中記 [DVD]
昭和36年の作品だそうです。私自身はこの後の「社長漫遊記」の方が三木のり平の宴会芸の面白さにおいて遥かに勝っていると思いますが、この作品もなかなかのものです。新幹線はまだ開通していないので、一行の大阪への移動は「こだま」を使ってということになります。缶詰生産の会社というのも時代を反映しています。そして大阪でのライバル会社がインスタントラーメンで伸してきた会社というのも納得がいきます。話自体はいつものパターンです。ディテールについて述べさせていただきますと、まず美しい新珠美千代さんの姿がまぶしいですね。取引先を招いての招待旅行の舞台となる南紀白浜にはもうこの時期にゴルフ場ができていて、その後のサラリーマンの宴会旅行のパターンの原型が出来上がっていたというのも驚きでした。もっともこのパターンもいまや消滅してしまいましたが。最後に水上機で東京から白浜に久慈あさみさんが駆けつけるのは狭くなりつつある日本の象徴です。
最高殊勲夫人 [DVD]
イタリア映画のようだ、という感想は
日本映画に対して大変失礼ではあると
思いますが、とにかく日本的な湿度を
感じないオシャレな映画でした。
まるでベルトルッチが日本で撮った映画のようです。
スクリーンが開いて、タイトルからはじまる
ロールの部分からして、ハイカラ!
空襲で焼け野原になったところに
父親が自分で建てたという家に住んでいる
若尾文子は、元気ハツラツ!!
川口浩もいいですねー。