バッハ:フルート・ソナタ集
このCDでフルートを演奏しているニコレは、元々ベルリン・フィル(BPO)の主席フルート奏者であった。BPO在籍当時(‘50〜59年)から技術的に非常に評価が高かったが、この演奏が録音された‘73年は、彼がフリーとなった59年以降、最も脂の乗った時期でもあり、約10年間に及んだリヒターとの一連の録音としてはこれがラストにあたるものである。それだけに、このバッハ(曲の一部は息子作との見方がある)では各曲目ともに非常に格調高い演奏を繰り広げている。
正直言って、私の場合、この曲を初めて聴いたのがたまたまこの演奏であり、未だ他の演奏をほとんど聴いたことがなければ、比較したことも無いので、その個性や表現について、細部まで書き留めることはできないのだが、それでも、どこかこの演奏がこの曲のベストではないかとさえ思ったりする。とりわけ、冒頭の「ロ短調」と、有名な‘シチリアーノ’を含む「変ホ長調」が素晴らしい。また、ラストに収められた無伴奏のソナタでも、ニコレはゆったりとした、それでいて緊張感の途切れることのない演奏を繰り広げている。
この演奏を聴くと心が洗われるような気がする。目を瞑れば、中世の古びた街の様子や人々の暮らし、質素な教会、祈りを捧げる人々の情景がまるで目に浮かぶようでもある。心が洗われるような演奏とはまさにこのようなことではないだろうか。
パッヘルベルのカノン/イ・ムジチ~バロック名曲集
全体に、かなり軽い感じの演奏だと思います。
同じイ・ムジチ(ミケルッチ)の演奏である「四季」のような、適度に締まった演奏を期待する人には向かないと思います。
じっくり聞く為なら良い演奏が他にあるハズ。
邦題に付けられた「パッヘルベルのカノン」も、ここまでサラリと演奏されてしまっては・・・。
しかし、オーボエ協奏曲はガラリと印象が変わり、美しさや濃密さが加わってかなり良いですよ。
個人的には、そのためのCDです。
バッハ:フルートソナタ集
ニコレのバッハのフルートソナタの録音は複数の共演者となされている。
その中で、カール・リヒターと競演したものは後年ドイツグラモフォン
の全曲盤があるが、これは両者が若い頃の1963年の録音だ。
好みによって分かれると思われるが小学4年生の頃にテレフンケンレコード(キング)から
発売されていたのがこれである。疾風怒濤の勢いで、情熱あふれる演奏が子供心にも印象が残った。
LP盤は聴き過ぎて、レコードの音溝が擦り切れて無くなってしまった。
永年CD化を願っていたが再発売されているのを偶然知った。ドイツグラモフォンの円熟した演奏も悪かろう
はずがないのだが、少年時代に傾倒したこの演奏に止めをさす。
両盤を聞き比べれば一目瞭然である。若さのほとばしるバッハに食指が伸びた次第である。
モーツァルト生誕250年記念 エターナル:モーツァルト
ジャンル別に分かれており、モーツァルトの入門用に最適のCDだと思います。他のベスト版だといろんなジャンルがごちゃ混ぜになっていたりしますが、このCDは交響曲からオペラまで代表的な曲がCD別に網羅されており、分量もちょうど良いです。モーツァルトに興味のある方は、このCDを足がかりにモーツァルトの更なる世界へと入って行かれるのも良いでしょう。
フルートによるバッハ「無伴奏チェロ組曲」
バッハの無伴奏チェロ組曲第1番BWV1007と第4番BWV1010をフルートで演奏したものです。
二コレ氏の録音は、このほかにもバッハのソナタやモーツァルトの協奏曲などいくつか聴いたことがあります。
もちろんどれも素晴らしいのですが、
この録音は無伴奏ですので、二コレ氏の音が堪能できてとても幸せな気分になります。
音色はもちろん発音もとても美しいです。
二コレ氏は、この曲を演奏するにあたって循環呼吸を行っていると思われます。
これによって、まったく無理を感じさせない、とてもなめらかなフレーズのつながりになっています。
原曲を聞きなれている方でも違和感は感じないのではないかと思っています。
フルートひいきの人間の主観では、音の間隔がひろい部分のスラーなんかは、弦楽器よりきれいなんじゃないかと、
思っていしまいます。比べてもしかたないですが・・・
自分は素人ですが、フルートが好きな方にはぜひおすすめしたいCDです。