陽のあたる坂道 [DVD]
裕次郎はもちろん日活映画をあまり観ていないのですが、第一印象として編集方法が悪いと思います。画面の切り替えに違和感がかなりあります。内容は日本版『エデンの東』ですが、倉本たか子(北原三枝)と田代くみ子(芦川いづみ)、田代みどり(轟夕紀子)と高木トミ子(山根寿子)、彼女ら女性を対比しながら物語を進めています。
北原三枝は、その時どきの表情がいいです。ラスト近くから田代信次(石原裕次郎)へ向ける微笑みがなんともいえません。 芦川いづみは、よく見れば美人とは云えないですが、可愛らしい魅力的なキャラクターを演じています。 轟夕紀子と山根寿子はすごくいいです。この作品がきちんと成り立っているのは彼女らの演技力です。 裕次郎の演技も若さに溢れて瑞々しいし、川地民夫の“ジミー小池”として歌うシーンはイカしてます(笑)。
青い山脈 [DVD]
今の目で見ると(今の目で見ちゃいけない映画なのかもしれませんが・・・)、他愛無い話を大きな騒ぎにして、民主主義や自由恋愛といったものを説いているような印象で、あまり面白くなかったです。登場人物たちのセリフも何か、板についていないというか、言わされているような感じがしてしまう。どちらかというと理事長(小津の晩春で’不潔だわ’と言われていた叔父さん)やら体育教師?(黒澤の野良犬に出てたポマードのあんちゃん)の悪玉や、高堂老人の理事や、芸者梅太郎なんかに愛嬌があったりして、民主主義派のキャラクターはどうも魅力薄。夏目漱石の「坊ちゃん」みたいな真っ直ぐな正義で悪玉をやっつける痛快さはないです。理事会で小ずるい策を弄したりするのも、すっきりしない。第一、校医の沼田先生は、原節子演じる島崎先生の美貌に惹かれて民主主義派についているように思えてしまうのもマイナス。なんか最後のプロポーズも不意打ちみたいでフェアじゃないよなあ。原節子さんは、凄く綺麗!!(なので星3つです)。
陽のあたる坂道 (角川文庫)
青森と言ってもある作家とは
こうも、違うものかと云うほど
前向きな温かい作家ですよね。
明るくすこやかな 人の温かさや優しさ、
誰しも大小あるだろう劣等感への扱い方。
活き活きと描かれたものが少ない現代だからこそ
余計に心地良く感じます。
信次を倉本たか子が愛することも自然で
たか子と信次に語らせていることが
伝えたいことなんだろうなと思います。
こうした学生を描く雰囲気は、
曽野綾子女史の28才から35才当時の
いくつかの小説ともテイストが似ていて
お気に入りです。
青い山脈 前・後篇 [DVD]
日活青春映画の傑作の一つではないでしょうか。今井正版よりは断然バイタリティに溢れ娯楽性があり良かったと感じます。今井版よりもそれぞれのエピソードが生き生きと、展開に無駄がなく描かれているので最後まであっというまで90分という時間をまったく感じませんでした。見終わったあとに、この映画の欠点は時間が短い所だな、と思ったほどです。 少なくともオリジナルの杉葉子の目がトローンとした危うい雰囲気より吉永小百合のほうがよっぽど明朗さわやかで良い。 高橋英樹と浜田光夫の配役は逆で良かったと思うので星4つ。