装甲のジェーンドゥ! (ガガガ文庫)
「ライトニングブリゲイド」「竹光侍」の永福一成のライトノベル。
大災厄に見舞われ、アナログな生活を余儀なくされた世界が舞台。
というのが、今の節電社会となんとなくリンクしている。
「ライトニング・ブリゲイド」が発表された後、実際にゲーム原作のアニメを観て
人が次々倒れる事件が発生したことが思い出される。
それはさておき、内容の方は、ちゃんとした娯楽作品。
喫茶店での待ち合わせ、フィルム式のカメラなどにいろどられる物語や、
章立てごとの名作SFをもじった題名など、
ラノベというより昔のジュブナイルといったおもむきだ。
人体の微弱電流を使って動く地下格闘用アーマードスーツは、
ファイターのスタイルによってバリエーションがあり、
アクションシーンが多彩で、漫画を文字にしたようなスピード感がある。
本線のストーリーを取り巻くキャラクター同士の関係と、
そのやりとりが楽しい。
ヒロイン、鈴木結々子の親友の杏とセイラとのガールズトーク、
半裸で闘う結々子のボディーには見向きもしない、スレンダー・ジェーンドゥのメカニック達、
変に怪しい間柄の、地下格闘の興行主・高柳とその見習い、神楽光次郎。
それに比べると、
結々子と秘密の同居人、田中三郎とのやりとりは淡く、遠慮がちで、
「妹萌え」を、期待して読まない方が良いと思う。
カラー絵は素直な良い感じの絵で大変好感が持てるが、
モノクロの挿絵は、首から下の動きの固さと小道具の拙さが目立ち、
物語世界を広げるための挿絵ならば、カラー絵だけでも良かった気がする。
「〜萌え」などのラノベ的なカテゴリーには入りにくそうなこの作品は、
なんの教条的なものは無く、ただ楽しめるというだけ。の、
「ライトなノベル」といった感じ。楽しかった。
竹光侍 5 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
僕もこの漫画好きですね。
幻想的な江戸を感じ、人物や背景など書き込みが少ないにもかかわらず、場の雰囲気が十分伝わります。
また瀬能と木久地の対決が近いみたいですね。しかし、どちらが強いかを楽しむ漫画ではないと思うし、静かな日常も魅力的なので、長く続いてほしいです。
最近、写実的な描写の漫画が多い中、珍しく画期的な絵の漫画だと思います。
竹光侍 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
宗一郎が生まれてはじめて蛸を見て、ポーズをとりながら
「全ての箇所がいっときに伸縮し、とどまることがない」
「貌(かお)もまた珍妙だに。鼻や口はどうなっとるんだら?」
と感想をいちいち述べるくだりに、主人公としての魅力が詰まっています。
相手する蛸売りも、
「きょうび、蛸ぐれえでそんな…」
とあきれます。
宗一郎が、全てを分かっているのか、何も分かっていないのか、
人間なのか、実は妖怪なのか、全く分からず、そもそも、このマンガが
何を描こうとしているのかすら分かりませんが、とにかく面白い事は間違いありません。
奥様である、冬野さほさんの影響が大きかったのか、今作での松本大洋の
画風は大きく変わっています。今までのファンからすると複雑な心境かもしれませんが、
私個人の感想をいえば、今までの絵にあった、「いやみ」のようなものがスッと抜けて、
実に素晴らしい絵になりつつあると思います。
この後、何十冊出ても買い続けようと思いますので、現代の「浮浪雲」「三丁目の夕日」
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「ゴルゴ13」目指して、超長期連載をお願いします。
竹光侍 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
本作は、永福一成が、松本大洋にマンガ原作として提供した小説「竹光侍」を、文庫化したものの第2巻。
今回は、竹光差しの浪人、瀬能宗一郎が、辻斬りの犯人に疑われる。
疑いをを晴らすべく
岡っ引きの恒五郎と、瀬能の住む「かたぎ長屋」の大家で元・恒五郎たち岡っ引きの親分、与左エ門、
そして、長槍の名手、旗本の御輿大三郎と共に犯人と追う。
その中で、宗一郎の出自の謎が一部明らかにされ、勘吉少年との交流が描かれる。
2巻では、ストイックな松本版竹光侍には無い「エロス」が漂う。
宗一郎に心を寄せる、矢取り女のお勝との情事、
剣友、御輿大三郎の、宗一郎に向ける友情を越えた眼差し。
宿敵、木久地真之介の、自分と同じ剣鬼・宗一郎への歪んだシンパシー。
三人三様の宗一郎への気持ちが交錯して、物語を盛り上げている。
特に、木久地の気味悪さは圧巻!
岡っ引きの恒五郎が良かった。
江戸の暗がり、血の匂いを感じさせる傑作!
EVIL EATER 1 (サンデーGXコミックス)
なかなか面白かったです。
設定が奇抜で良いですね。
魔法の技術が確立し法術と名を変え科学と共存している時代。
「生命等価交換法」…法術の力を用いて加害者1人の命を使い第1被害者を生き返らせることができることを制定した法律。
生き返った第1被害者は世還者(リターナー)と呼ばれ心的悪種(バグ)を背負って生き返ります。このバグを背負った世還者を放っておくと社会的脅威になるので世還者のバグを取り除く法術執行官が存在します。
この漫画は天才的な能力を持つ2人の法術執行官の物語です。
絵も綺麗でテンポも良く面白かったです。
シリアスな物語が好きな人は楽しめると思います。