Vobiscum Satanas
エンペラー・マグナス・カリギュラ(vo,b) ロード・アーリマン(g) テュフォス(g) アルザズモン(dr)
スウェーデン産ブラックメタル・バンドの、1998年2nd。本作以降バンドの顔となる、エンペラー・マグナス・カリギュラが加入。
物悲しげなメロディを凄まじい勢いでかき鳴らすトレモロ・リフ。そして絨緞爆撃の如く、あるいは猛吹雪の如く打ち付けるブラストビートは、まさに音の壁。轟音がそそり立つ。
音圧も凄まじく、暴虐さと凄まじい冷気がアルバム全編に満ちている。闇と氷に閉ざされた、なんか邪悪な彫刻とかが施してある荘厳な城が脳裏に浮かぶ。
数多のブラックメタル・バンドの中でも上位に入る攻撃性。それでいて非常にメロディアスでもある。そしてそのメロディが寒々しさをより一層引き立てているのも、このバンドの魅力。
ブラックメタル・バンドの中には、あくまでイメージの一環として悪魔主義を打ち出しているバンドも少なくないのだが、彼らは本物のサタニスト集団である。音楽的にも思想的にも、「本気」のブラックメタル。
Attera Orbis Terrarum 1 [DVD] [Import]
エンペラー・マグナス・カリギュラ(vo) ロード・アーリマン(g) チャック・モル(g) B-Force(b) マッテ・モーディン(dr)
スウェーデンの激烈ブラックメタル・バンドによる、2枚組のライヴDVD。2007年発売。
disc1には2005年3月12日、ポーランドはカトワイスにて行われたライヴと、2006年3月5日にオランダ:ツボルグにて行われたライヴ。このポーランド公演とオランダ公演の間にはアルバム「Attera Totus Sanctus」のリリースを挟んでおり、セットリストやメンバーの衣装なんかががらりと変わっていて興味深い。
ポーランドの方はかなり広いホールで行われており、映像もハイビジョンで鮮明。照明効果や観客の熱狂と相まって、壮大な黒ミサといった雰囲気。対してオランダの方はこじんまりとしたライヴハウス。しかしそれはそれで、密閉された空間での地下儀式といった塩梅である。最強のアルバムからのツアーということで、演奏の方にも相当気合が入っている。
disc2は2006年3月17日、フランスのパリにて行われたライヴを収録。それとデビュー前の1994〜1997年のライヴが11曲と、PVが1曲。
3本ともに言えることだが、彼らの音楽性はブラックメタルのなかでもかなり激しい部類に属している。それでいて一糸乱れぬ演奏力に、衰えを見せぬ強靭さ。カリギュラの肺活量や喉の強さもそうだし、マッテの鬼神の如き壮絶な、それでいて安定した高速ブラストはさすがである。
disc1,2合わせて3時間半ほど。激しくも濃密な内容なので、観る方も体力の消耗を覚悟していただきたい。
Angelus Exuro Pro Eternus
スウェーデンのブラックメタルシーンを語る際、避けては通れない大御所バンドDARK FUNERALの5枚目のアルバム。
Defleshed等での活躍で知られていた怪物ドラマーのマッテが解雇され、代わりにデスメタルバンドAEONのドラマーがドミナイターの名前で参加し製作された。
マッテがいなくなったのとはいえ、やっぱり新任ドラマーも怪物級。鬼の如くブラストしている。
だが、インタビューで語っていたように敢えてブラストを封印したミッドテンポな曲も増えた。元々このバンドは叙情的なメロディを作るのがうまかったので、ミッドテンポ曲といえども普段通りの冷徹さを伴う、良質なスウェデッシュ・ブラック・ソングとなっている。
アルバム発売当初から時間がたち、新任ドラマーもヴォーカリストも脱退してしまったDARK FUNERAL。今後の活動での成功を祈るばかりである。