プレーリードッグ
5歳の息子が誕生日にお友達からいただいたのが始まりでした。
赤ちゃんのころから、ぬいぐるみには一切興味を示さなかったのに、これにははまりました。
今では、小脇にかかえ、どこへでも連れて行きます。
それを見て、プレゼントの送り主も欲しいといい出したので、今度は、こちらからプレゼントしたところ、他のお友達も欲しがるようになり、今では、仲間が4匹に増え、来週には、もう1匹加わるとのこと。
親がみても、かわいいです。
写真より、実物のほうが、さらにかわいい!
土のなかの奇妙な生きもの
日本土壌動物学会の会長を務めた事もある専門家に依る土壌動物入門書。蚯蚓、馬陸、蝸牛、草鞋蟲、団子蟲、笄蛭、蠍、蠍もどき・・・等々、キュートな蟲達が次々と・・・
真っ黒な筒型の馬陸を万年筆馬陸と言うのは初めて知った。日本のペットショップではアジア産のものはマレーシアオオヤスデなどの名前で、アフリカ産のものはタンザニアオオヤスデなどの名前で販売されているタレ眼の愛嬌のある生き物だが、長生きさせるのが難点。メガボールやギガボールに至っては、すぐ死なせてしまうと専らの評判だし・・・インドネシアの蝶の谷は話には聞いていたが、何処かの山中か秘境かと想っていたら観光地化されていたとは・・・しかも歩道には万年筆馬陸がうようよしているとか・・・だったら交尾しているところも見られるかも・・・このサイズのものは交尾していると精子もはっきり見えるからな。ちなみに、こいつらは触らない方が良いと書かれているが、買って来て飼育していた時の経験では触れただけなら問題無く、強引に掴むと漸くシューッという噴出音と共に臭気を出し手が紫色に変色するが、痛みなどは無いので逆に「馬陸焼け」したと言って喜んでいたりしたものだが。
鉄道の天敵(?)である汽車馬陸についても新事実が乗せられていて良かった。
シーボルト蚯蚓は見た事が無かった。こんな綺麗な蚯蚓なら、ぜひ見てみたいものだ。イリドウイルスに感染して綺麗な色彩になった等脚類の事も知らなかったし、こいつらがどうやら近代になって入って来たらしいと言うのも初めて知った。
アフリカマイマイについては、寄生虫の中間感染動物扱いなので駆除対象にされていなかったかな?テレビで見ていたら沖縄のお年寄りが、昔は肉を焼いてパンに乗せて食べたりしていたと語っていたっけ。
笄蛭も日本に昔から居たらしいクロコウガイビルと、外来産のオオミスジコウガイビルを飼ってみた事があったが、こいつらほんの僅かな隙間からでも逃亡してしまい、室内の環境では忽ち干上がって死んでしまう。
蠍もどきを叩いた学生の話には笑ってしまった。大型の蠍もどきはジャイアント・ヴィネガロンの名前で販売されているが、ピンセットで突付いたり指で触れたりする程度だったらガスなんか発射しないのに。
兎に角、魅力的土壌生物についての話が満載で楽しめた。
動物の値段―シャチが1億円!!??
プレーリードッグをご存じだろうか。そう、アメリカの草原に穴掘って集団で住んでる大型のリスみたいなアレである。
と、ここまではぼくも知っていた。でも、プレーリードッグが牧畜業にとっての害獣だとはぜんぜん知らなかった。本書によると、住みかの入り口の穴に牛とかが脚を踏み入れて骨折することがあるのだという。だもんで、牧畜業者は定期的にプレーリードッグを駆除しているのだそうな。
そして、その駆除法がすさまじいのだ。あの穴に水を流し込んで集団溺死させる、というのが以前の方法だった。なんと残酷な! でもこれはあまりにかわいそうだというので、最近になって採用された方法。
巨大掃除機を穴につっこんで群れごと吸い取る。
すごい!あまりに合理的!それで吸い取ったプレーリードッグをどうすんのかというと、ペットとしてありがたがる日本に大量に輸出してたんだという(今では日本が禁輸にしているけど)。こんなこと、わくわく動物ランド(古い)では決して教えてくれますまい。
この本にはほかにも、シーラカンスを生け捕りにして水族館で飼う計画があったとか、エリを広げて走るエリマケトカゲの真実(走るときは空気抵抗を避けるためにエリを閉じているのが普通で、エリを閉じ忘れていたのは撮影スタッフにいじめられて極端な恐慌状態にあったからに違いない!)とか、おもしろすぎるエピソードがいっぱいだ。
著者が何者かというと、動物の商人。海外のうさんくさいブローカーとつきあって珍しげな動物を見つけて、日本の物好きに売りつける仕事だ。本人も相当、うさんくさい。
実際、逮捕歴も複数回あるようだ。ここらへんのところは本書にはくわしく書いていないので、自分でちょっと調べてみたところ、最初の逮捕はなんと二十歳のとき。東南アジアからヤマネコとテナガザルを密輸した罪だ。底の部分が二重になった木箱をつくって、上の部分には輸入が許可されてるコウモリをいれてごまかしつつ、下の部分に禁輸のヤマネコとテナガザルを隠していたんだとか。睡眠薬をむりやり飲ませておとなしくさせたつもりだったが、税関を通るときにネコの睡眠薬が切れて「ニャー」と鳴いたのでばれたんだという。おまぬけー。あだ名はワシントン条約にちなんで「ワシントン君」だったらしい。
というわけでこの人、客観的に見れば相当に後ろ暗いところもある人物であることは確か。それでも本書から受ける印象としては、金目当ての強欲悪徳業者というだけではない。子供の頃から動物が好きで、趣味が高じて仕事になってしまった究極のオタク、といった感じである(顔も完全なオタク顔)。憎めない。
本書に記されてる動物のいろんなエピソードも、動物の生態を知り尽くした彼だからこそ書けるものばかり。レバノンの子供たちにいつか本物のキリンを見せてあげたい、と語るセンチメンタルな一面もある。笑えると同時に勉強にもなり、「野生動物の見せる壮大な生命のドラマ!」「何はともあれ環境保護はだいじです!」といった大手マスコミ的な見方がすべてじゃない、ということも楽しく理解できる。とても良い本だ。
ひとつだけ残念なのは、自らの逮捕について詳しく語っていないこと。反省して見せろ、というわけではないんだけど、いま振り返ってみてどう思ってるのかとか、ああやったらばれなかったのに、という後悔と改善策とか、そういうのでもいいのに。逮捕なんて劇的なエピソードには、本人しか知らない裏話が絶対にあるから、格好のネタになったはず。