チョコレートコスモス (角川文庫)
読者は観客。
まるで目の前で演劇をみているかのような臨場感。
二人の若き天才女優が演劇に賭ける情熱に魅せられました。
「ガラスの仮面」を彷彿とさせ、少女漫画的みたい!!
若き大女優・東響子の人間性は鮮やかに描かれている反面、
新人女優の佐々木飛鳥の感情があまり描かれてません。
本文中にも似たような記述があるのですが、
飛鳥は本当に“演劇ロボット”です。
その人物描写の甘さに小説としてはマイナスをつけてしまいそうになるけど、
案外これは恩田先生の作為的なものなのかも。
だって読み終わってすぐに「今すぐ続きを読みたい!」と思わずにいられないから。
この本まるごと一冊を使って、これから起きるであろう真の戦いへの
長い長い予告を見せられたような・・・。
続編の構想がある上で書いているとしか思えないんですよね。
恩田先生、飛鳥の内面はそこで描くんでしょう?
絶対に続編書いてくださいね。期待してます。
六番目の小夜子 第一集 [DVD]
原作をモチーフに、ここまで進化したドラマは他にないでしょう。
音楽、脚本、ミステリ要素、これら五大元素のような物が、完璧に揃い、組み立てられています。
脚本はもとより、気になったのが音楽。
緊迫感があり、しかし、必然的に懐かしさを感じさせる、とても不思議な心地の音楽は、世界観にマッチしすぎていて、鳥肌ものです。
なぜ、サントラがないんだ!!!!!!
夜のピクニック [DVD]
「本屋大賞」を受賞した恩田睦原作を映画化。
全校1000名で24時間80キロを歩く「歩行祭」が舞台。
ミステリー性よりも、学園ドラマ的に展開。
恋愛感情、友情、家族感情…、スローテンポで真面目に話が進む。
主役の多部未華子の、きりっとした表情から笑顔に変わる間が良い。
今回は廉価版としての発売です。
夜のピクニック (新潮文庫)
読み始めた当初、何と淡々とした小説だろうと思った。
大学受験の事とか、誰と誰が付き合っている、
などという他愛ない話題が、あまり抑揚なく続いている。
特に大きな出来事も起こらず、
貴子と融の間のささやかなイベントが、
あたかも最大のクライマックスであるかの様だ。
当初は多くの参加者はあまり乗り気ではない。
しかし、このフルマラソンの倍の距離を歩き通す間に、
皆の意識が少しずつ変化し、辛いながらも充足感に満たされてゆく。
同時に、段々と引き込まれる。
読み進むに従って、この作品が終わるのが名残惜しくなり、
最後は、文章を舐める様に味わったりする様になる。
自分も皆に混じって歩いている様な気分にもなる。
この作品は読む事が自体が無償に楽しい。
そして、読後感は最大級に爽やかだ。
読者に温かい気分をもたらせてくれる一冊だ。
酔って記憶をなくします (新潮文庫)
自分の酔っ払い具合や失敗はまだ可愛い方だなぁと思える本。
ありがちな話もあるが、つい笑ってしまう内容もあり、それなりに楽しめます。
電車乗り過ごしの話は、具体的な路線名や地名が出てくるので、電車になじみのある関東圏の人にしかピンとこないような内容もある気がします。
mixiの投稿のまとめなので、ひとつひとつのエピソードが短編で読みやすい。真剣に読みこむというよりは、時間潰しに良いかもしれません。続編も読みたいです。