モーニン・イン・ザ・ムーンライト(2イン1)
70年代初めに日本ビクターから「ソウル・ブルーズ・コレクション」と言うブルーズのシリーズがありまして、当時外盤がなかなか手に入らなかった地方ではうれしかったのを覚えています。ところがだ!この親父は抜かされとったんだよ。選者が中村とうよう、桜井ユタカ、日暮泰文だったと思うが、何故何故入っていないの、と言う不思議な現象でした。シカゴ南部派の三羽烏のサニーボーイもエルモアも入っているのにですよ。マディーなんかVol.2までありましたよ。
と云うわけで彼のはじめての日本版LPが出たのが75年に死ぬ少し前だったんですよ。そしてそのLPはかなりの部分このCDのもととなった2枚のLPから選曲されています。
このCDはかなり幅広い時代を対象にしていて入門版としては文句なしでしょう。後年ヒューバート・サムリンがバックをつけた曲は聴きやすくスマートですが、メンフィス時代の荒々しく、どたばたしたウルフはアドレナリンがぶんぶん分泌もの。このCDでは2曲しか入っていませんが機会があったら別のCDで聞いてみてください。
後年に関しては確か「More Real Folk Blues」と言うCDでヒューバートのギターが存分に聴けます。Folkブルーズというのが笑えるけど。
いずれにしてもウルフ親父はとてもCD1~2枚で分かるほど単純でも寡作でもありません。これを機にまた集めてみようかと思い始めました。
死ぬまで武闘派だった親父、私のアイドルです。
Spoonful
・blues.the-butcher-590213のメンバーは、永井”ホトケ”隆(Vo・G)、沼澤尚(Ds)、KOTEZ(Vo・Harp)、中條卓(B)。結成は2007年で、本作がファーストアルバム。
・ 収録曲は“Spoonful”(ハウリン・ウルフとクリームで有名), “Sitting on Top of the World”(同), “Killing Floor”(ウルフとジミ・ヘンドリクスで有名)など全曲カバー。“Mystery Train”(ジュニア・パーカーのオリジナルで、エルヴィスで有名)、“Slipping and Sliding”(リトル・リチャードがオリジナルでジョン・レノンがカバーした)も含む。演奏は引き締まって的確。かなりライブ的な録音である。私は永井氏の日本語訛りの英語は渋くていいと思う。ヴォーカルは正に日本人のブルーズで、こういう音楽もあっていい。
・ 残念なのは、歌詞カードが付いていないこと。“Killing Floor”は歌詞が改作されている。
(付記)私はblues.the-butcher-590213のライブは観たことはないが、永井氏、Kotez氏のライブは観たことがある。どちらも情熱を感じる興味深いものだった。日本人がどのようにブルーズを解釈するのかに興味を持っている方は、彼らのライブも見てほしい。12月もツアー中である。
ベスト・オブ・ハウリン・ウルフ
シカゴブルーズを代表するハウリンウルフのベストCD。チェスレコードの50周年を記念してコンパイルされたシリーズのひとつで、ジャケ、音質、選曲のどれをとっても非常に丁寧な仕事がなされています。1CDでチェス時代のものではこれ以上のベストはないのではないでしょうか。強烈なダミ声とハープでグイグイ押しまくるスタイルは一度耳にすると忘れられません。ジミ、クラプトン、ストーンズやツェッペリンやドアーズの連中もそうだったんでしょう。このCDに選曲されている曲の数多くもこうしたアーティストにこぞってカバーされています。彼のボーカルの前には誰でも迫力不足とさえ感じてしまいますが・・。初めて彼を聴く人も凄みが堪能できると思いますよ。
Blues Odyssey [DVD]
この手のブルーズ関連物というと、まあ、黒人の有名(たまに、そんなでもというのもあるが)ミュージシャンが多いが、ここでは、ヒルビリーの元祖ともいえる白人のフランク・ハッチスンやクリフ・カーライルなどにも触れていて、その辺りは”待ってました!”と、声をかけたくなる考察です。
ストーンズは、ブライアン、ミック・テイラー、ビルが去って、完全に、魅力が9割ぐらい落ちたよなぁ〜。