![]() 戦場から女優へ |
半年ほど前でしょうか、NHKでサヘル・ローズ母娘のドキュメンタリーが放送されていて、その後半5〜6分をたまたま目にしました。私は日本の民放番組をあまり見ないものですから、現在テレビで活躍中という彼女のことをそれまで全く知りませんでしたが、血のつながらないこの母娘が、実の親子以上に固い絆で結ばれている姿が番組から強く伝わって胸打たれたのです。 その後本書のことを知って手にとってみたのですが、波乱に富んだという言葉では修飾しきれないほどの彼女のすさまじい人生には言葉を失いました。 イラン・イラク戦争時にイラク側からの攻撃によって家族全員を失い、瓦礫の下からただひとり救出された4歳のイラン人少女。救出活動にあたった女子大生の養女となるも、その養母が資産家の両親に勘当されて経済的に苦境に立たされる。それを契機に養母と一緒にその婚約者が住む日本へと渡ってきます。 養母の婚約者の暴力と裏切り、言葉の通じない異国の公園でのホームレス生活、中学でのいじめ、など苛酷な体験を経て、著者は現在芸能界で生きる身となります。 彼女を取り巻いてきた人々の姿を読むにつけ、人間というのは実に際限なく残虐になれるものだなという暗澹たる気分にまずは襲われます。 その一方で、養母の愛情や、援助の手をさしのべてくれた人々の厚情にも、それぞれ果てがないことを知る経験を著者が同時に味わってきたことを知り、人間への信頼を失わない人生を彼女が確かに歩んできたことを思って心に温もりを感じます。 そして戦争でただひとり生き残ったことに、何かの意味があることを著者が確信する姿に、読者として勇気づけられることもまた確かです。 「たぶん私は、伝えるために生かされたのです。」(199頁) まだ23歳という若い著者が、今後の人生で何をどう伝えていくのか。 そして読者である私が生かされている意味とは。 そのことに思いが至る一冊です。 |
宮川賢とサヘルローズのニンニンちくび(1)2008-06-09
宮川賢のニンニンちくび。ゲスト・サヘル・ローズ。「志士たち」告知。
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