Small Craft On A Milk Sea (WARPCD207)
ダンス・ミュージックへの批評性溢れるcutting edgeな作品を多くリリースしてきた老舗テクノ・レーベルWARPから出すということが、やたら大事件扱いされた本作。イーノ自身、自信満々のご様子だったので期待をして手にしたリスナーが多かったと思われるが、肝心の音の方はというと、かつてのWARPらしい激しい曲調のものも時折混じるものの、全体的な聴き心地は意外とあっさりしたアンビエント作品だったりする。確かにダンス・ミュージックだとかエレクトロニカだとかは一言もイーノ側は話していないのだが、そこに一抹の期待を感じさせた罪な作品故に、信者の多いイーノの話題作の割にはレビューの数が少ないのではないだろうか。
星を一つ削ったのはこのような肩透かし感があったからだが、本来これはイーノの問題ではなく、本作の売り文句とメディアの問題だ。ただ、WARPから出さなきゃならない音楽的必然性は余り感じられない音なのも確かで、内容自体は"Music for Airports"など往時の名作を彷彿とさせる瞬間もあるだけに、この点でミソがついたのが個人的には残念だった。寧ろ、こんなオーソドックスな作品を抱える懐の広さを見せたWARP側がマーケティング戦略上、一番得をしたのかもしれない。
Small Craft On A Milk Sea [解説・ボーナストラック付き国内盤] (BRC275)
イーノにとっては実に久しぶりの「インストアルバム」である。
内容紹介にあるように、かなり本作を画期的アルバムであるかのように表現しているが(イーノ自身も・・・)、実際に聴いてみると、それほど画期的あるいは驚く程のアルバムではなかった。
しかし、これは「つまらない」ということではなくて、むしろアルバムを聴くと非常に楽しめる内容になっている。
本作はあの「オウテカ」を擁する「WARP」から出たこともあって、「WARP色」がどこまで出ているのかが気になるところだが、それっぽい曲もあれば、アンビエントテイストの曲も結構あるので、あまりイーノ自身「WARP」だからという気は使っていないようだ。
しかし考えてみれば、現在の「ハウスミュージック」の源流は、明らかにブライアン・イーノが70年代から行ってきたことの延長線上にあるので(これはイーノ自身も過去に述べていた)、そういう意味では「WARPの源流」のような人物がそこに来てアルバムを出したわけであるから、何とも複雑な心境ではある。
話が少しそれたが、本作は音楽的にはイーノの過去作である『アナザー・グリーンワールド』にかなり近い印象を受けた。
本作が「セッション音楽」である点をイーノは強調しているが、『アナザー・グリーンワールド』もかなりセッション的な実験作であったことから、やはりイーノのそういう「手癖」というか「音癖」が出ている。もちろん良い意味で。
イーノを聴いたことがないような人には当然ながらいいアルバムであると思うし、昔からのリスナーにはどこか懐かしいような思いがする佳作だと思う。
ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984
サイモン・レイノルズのこの著書は、ポストパンクという特別な時代を知り、振り返るうえで、最も重要なもののひとつであることは、この邦訳が出版される前から論をまたない。国内で待望されていたその翻訳は、非常に丁寧なものであり、資料も補完・訂正されて、ポストパンクへの愛にあふれた誠実な本となっている。私は英国版・米国版をすでに所有しているが、それでもこの著書に価格以上の価値を感じ購入した。強く推薦する。
Talking Heads - Stop Making Sense [DVD] [Import]
僕は基本的にはパンク以降は網羅的に聞いていないので詳しくない。詳しくならなかったのは歳のせいかもしれないが「いい音楽」に出会えなかったからと考えている。そのような僕の数少ないパンク以降の「お気に入り」がトーキング・ヘッズであり、このDVDはパンク以前の全ての音楽DVDの中でもトップだと思う。こいつはスゴイです。何がすごいか?上手くいえないので買って見て(聞いて)くださいませ。他の超ビッグ・アーティストのライブのDVDとか目じゃない・・・。もう才能の差をこうも見せ付けられてしまうと作品としての質の高さも重要であることを知らされてしまう。最高峰です。
Remain in Light
昔LPで聞いていました、最近ごそっと買いなおしをして聞いています。
今となって、かえってトーキング・ヘッズのすごさがわかる気がします。
リメイン・イン・ライトは至上の傑作と感じています、素晴らしい作品です。