矢代秋雄:ピアノ協奏曲(1967 初演 中村紘子/NHK交響楽団)/2本のフルートとピアノのためのソナタ(1958 放送初演 吉田雅夫/高橋安治/田辺緑)/ピアノ・ソナタ(1961改訂版 初演 山岡優子)
音源としては価値があるが、このシリーズ4枚に共通して言えるのは、解説がダメ。初演者の情報など、当然のことが欠落している。大方、無能な音楽評論家に執筆を依頼したのだろうが、Wiki以下のレベルの解説である。演奏は素晴らしいからこそ残念だ。「このようなCDを後世に残す使命を感じた」などど大風呂敷を広げるのなら、行間の隙間のある解説など止めて、できる限りの詳細の解説が欲しかった。1000円の安いナクソスとは違うのだから。
それでも、日本人は「戦争」を選んだ
60歳を超えた身だが、読んでみてだいぶ刺激を受けた。忘れかけた歴史と、まったく知らなかった歴史があり、大学の先生が専門領域を分かりやすく講義するというのはたいへん有意義だと思った。
この本は、東大で近代史を教えている加藤先生が、神奈川の私立栄光学園で中学1年生から高校2年生までの歴史研究部のメンバー20名ほどを前にして、日清戦争から太平洋戦争までの歴史を国際情勢のなかで講義したものだ。
加藤先生が生徒たちに質問を投げかけ、答えを導き出しながら講義するという形式だ。本にする際、だいぶ編集が入っている点はあるかとは思うが、特に驚いたのは中高生が加藤先生の発する難しい質問に的確な答えを出していることだった。
例えば日清戦争が終わったあと、国内の政治で何が一番変わったか?など、普通はちょっと出てこないが、彼らは普通選挙運動といい、なぜそうなのかも答えを出している。うむ〜、すごい!自分で状況を判断して、答えを導き出せるというところがすごい。もちろん加藤先生のうまい誘導があるおかげだろうが。加藤先生の講義の根底に流れるのは、パワーバランスをどうとらえるかという観点かと思う。
ならず者【DVD】
やっとしびれる映画がDVD化される。健さんと石井輝男監督が「花と嵐のギャング」で初タッグを組んで以来、撮り続けたギャング映画のなかでも飛びぬけた屈指の傑作。
石井作品の一貫した特長は与えられた環境で一生懸命に生きようとするアウトサイダーへのまなざしにある。その思いがクライマックスのセリフ、映像に結実して、哀愁漂うフィルムノワールになっている。
本格的な香港・マカオロケが作品に溶け込んで格調のあるものにしている。ロケコストが抑えられていて健さん自ら資材を担いで回ったそうだ。それを見ていた石井監督が「もう少しの間、我慢してな。必ずスターに押し上げるから」と言ったそうだ。健さんが日本映画界の大看板になった大ヒットシリーズ「網走番外地」前夜の作品でもある。
脇役もそれぞれがいい味を出している。繰り返して観たくなる買って損のない作品だ。
三善晃:混声合唱と管弦楽のための「詩篇」[初演](1979 小林研一郎指揮)/レクィエム[初演](1971 岩城宏之指揮)
音源としては価値があるが、このシリーズ4枚に共通して言えるのは、解説がダメ。初演者の情報など、当然のことが欠落している。大方、無能な音楽評論家に執筆を依頼したのだろうが、Wiki以下のレベルの解説である。演奏は素晴らしいからこそ残念だ。「このようなCDを後世に残す使命を感じた」などど大風呂敷を広げるのなら、行間の隙間のある解説など止めて、できる限りの詳細の解説が欲しかった。1000円の安いナクソスとは違うのだから。