スペードの女王・ベールキン物語 (岩波文庫)
ひさしぶりに、どきどきする物語を読んだ。
短くて、息もつかせぬ展開で、次々とページを繰るこの感覚。
ギャンブル、殺人、古来から使われているモチーフを、しっかりと読ませる本作は、まさに「王道」「古典」と呼ぶにふさわしいように思える。
「スペードの女王」もさることながら(三・七・一と唱えたくなってくる)、「ベールキン物語」も良作ぞろい。
「その一発」(展開がすごい)「駅長」(最後のシーンがよい)が、印象的。
古きよき物語という言葉がぴったりの本。
現代の作家が書けない類の本のひとつであるかと。