裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
私はまだ一度も裁判を傍聴したことがありません。それは、身内に裁判沙汰になるトラブルを起こした人もなく、何より裁判がそんなに頻繁に行われていることを知らなかったからです。著者の北尾さんは知人の裁判が敗訴になったと聞き、裁判のドロドロさ、ナマナマしい人間ドラマに興味を持ち、裁判の傍聴の人となります。 はじめは何もわからず、長い廊下をあちこちうろうろし、エレベーターを上り下りしてばかりいたそうですが、傍聴マニアと友達になり、情報交換もするようになり、今では自らが傍聴マニアになっています。 この作品は法律のしらない素人の北尾さんが書いたものですから、裁判がとても身近に感じられ、大変読みやすいです。 裁判員制度が始まる前に、皆さんも読んでおくと、裁判の流れや中身が分かっていいと思いますよ。
死刑絶対肯定論―無期懲役囚の主張 (新潮新書)
この本を読むと、所々、国語辞典から難しい言葉を探してきて
挿入したようなところがあるが、もっと日常的な言葉で十分置
き換えが利くのにと違和感があった。
興味のあった点。
○強盗殺人などのような凶悪事件の受刑囚は、殆どが改悛の情
もなければ、他人に対する共感もない。あるのは損得だけ。
裁判のときは、刑を軽くしてもらうため、改悛の情を見せるが
多くは嘘。
その証拠に、刑務所では自分のやった殺人を明るい表情で話す。
一般人には、彼らの思考が異星人のもののように思えるだろう。
○被害者に対して悔悟の念を抱くどころか、憎んでいる場合が
多い。その発想は次の通り。大したことでもない窃盗現場を見
て、被害者が騒いだり抵抗したりしたために殺さざるを得なく
なった。窃盗だけであれば罪は軽いのに、あの被害者がバカな
行動に出たから殺人罪によりこんな長期刑を食らった。
○犯罪による時間当たりの収入は通常の勤労者より割がいい。
○そんなことから殺人事件の受刑者は出所後まじめに働こうと
思ってる者は少ない。
○作業報奨金は、3年過ぎても月に1万円にならない。
○出所後に行くところのない者は当面は更生保護施設に住む。
○凶悪事件受刑者の受刑者の7割が再犯者。
○著者が、「裁判員が裁判をやり終えたことに自己満足を感じ
るようだが、実態が分かっていない」と述べていることには説
得力がある。
傍聴マニア09 裁判長!ここは懲役4年でどうすかDVD-BOX(5枚組)
序盤はコミカルだが、だんだんとシリアス路線へ。
なぜ傍聴しているのか。
人の不幸を楽しむなんて不謹慎ではないか、といった展開もあり。
最後は裁判員制度につなげていて、気軽に見れて得るものの多い作品になっていると思います。
世にも奇妙な物語 DVDの特別編3
古い年代の作品ばかりを収録しているが、
全体的に非常にクオリティが高い。
●ルナティック・ラヴ
「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」
「花とアリス」などで有名な岩井俊二監督のもの。
終始、豊川悦司の作る独特な雰囲気に包まれ、非常に怖い。
静かな雰囲気なのに、妙な色合いと豊川悦司の独白が異常性を引き立てる。
●友子の長い夜
ほとんどともさかりえ一人しか出てこないが、
非常にテンポが良く、学生の微妙な逃避願望が楽しい。
●扉の先
椎名桔平をはじめ、俳優の演技力が光る。
場面展開がほとんどないのに
ここまで展開が気になる引きの強さは素晴らしい。
●ウィルス
展開が読めないこともないが、
原作の優秀なショートショートをうまく映像化していると思う。
●自殺悲願
自殺をテーマにしている割に、全編コミカルな雰囲気があって楽しい。
シリアスな雰囲気が似合う山崎努と展開のギャップが良い。
人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白
犯罪者との対話をハイライトにしている以上、タイトルは上記の方が的確な気がする。山本譲二氏の「累犯障害者」を読んだ時も同じように感じたが、実際の刑務所が更正施設としても懲罰施設としても破綻しているのがよく分かる。死刑廃止論者はまずはこの辺りの問題をすべて解決した上で、加害者の更正、改心に期待するべきでしょう。前半2章までは本題に入る前に自分の立場をはっきりさせておく為には必要だとは思うけど、少し冗長に感じたのと、著者の父親の思想、行動、教育方針には全く共感できなかったので星を1つ減らしました。